冷蔵庫の選び方は?
巣ごもり需要の影響もあってか、ドア数6タイプほどの容量500L以上の大型冷蔵庫が売れているそうです。家族向けにサイズアップしたい人や引っ越しに合わせて買い替えたいという人は、値段はもちろん、使い勝手や機能が決め手になってきます。
そこで今回雑誌『家電批評』が、シャープ(SHARP)、東芝(TOSHIBA)、パナソニック(Panasonic)、日立(HITACHI)、三菱(MITSUBISHI)の5大メーカーの上位モデルを一堂に集めて、家電の専門家や料理の専門家と徹底検証を実施。2022年のおすすめランキングを決定しました。
検証結果を発表する前に、まずは、5製品を比較してわかったことをご紹介します。
冷蔵庫の機能比較で差が出たのは?
パナソニックは野菜室を最後まで引き出せるので、大きめの野菜を奥に入れても取り出しが容易です。
東芝はドアポケットが片手で調整できます。底面のレバーを引くことで、片手で簡単に移動。高さを細かく決められるのも魅力です。
三菱は薄型で冷蔵室内でジャマにならないうえ、すべてのパーツが水洗いできるお手入れ面を評価しました。
また、専門家に「この機能のために買ってもいい!」とまでいわしめた、おすすめポイントがこちら。
専門家のおすすめポイントは?
飲みたいときにビールを急速冷却できる!
冷蔵室が1.2℃(実測値)の低温だった日立の「まるごとチルド」は、ビールをキンキンに冷やせる優れもの。急いでいるときには「クイック冷却」も使えます。
冷凍した食材が簡単に切れる!
三菱の「切れちゃう瞬冷凍」は、解凍せずに必要なだけミンチ肉を切ったり、ミートソースをスプーンですくったりできます。(凍りすぎたときは約5〜15分室温に置くと切りやすくなります)
切れちゃう瞬冷凍なら力はいりません。
冷蔵庫の最新機能は?
重さを目安に在庫を推測するプレートですが、「ひとつの食材のためにこの装置を置くか?」というのが疑問です。
日立・冷蔵庫カメラ
現状では死角が多いうえ、撮影するのは扉を開けたときのみ。海外では庫内カメラで常時監視が増えているようです。
買い物メモの作成やレシピの相談などができますが、スマホを使えば済むことであまりスゴさを感じられません。
新しい機能を積極的に取り入れている製品は応援したくなります。
上位モデルをそろえた今回の検証では実験的な最新機能を搭載した冷蔵庫もありましたが、専門家いわく、こうした便利機能は実用にはちょっと物足りないという結論でした。
それでは、本題の5製品比較の検証内容の詳細について解説します。
冷蔵庫の比較方法は?
今回比較検証するのは、シャープ、東芝、パナソニック、日立、三菱の30万円超えの上位モデルの冷蔵庫5製品。Amazonや楽天市場、Yahoo!ショッピングといったネット通販でも購入できる人気モデルを集めました。
家電のプロである石井 和美さん、戸井田 満樹さん、うめまるさん、料理のプロであるさわけんさん、桃世 真弓さん、臭気判定士の石川 英一さん、360ラボ室長の松下 和矢氏に、次の項目を厳しくチェックし、評価していただきました。
1:チルド室 15点
チルド室とは、冷蔵室より低い約0~3℃に設定された部屋。製品によっては0℃以下の「パーシャル室」になります。鮮度を保ったまま、精肉や鮮魚をどれだけ長く保存できるかを確認します。
精肉と鮮魚の重量から鮮度を推測
「ハム」「豚ロース(とんかつ用)」「鯛(サク)」「サーモン(サク)」「あじの干物」を、それぞれラップをしたもの・しないものを用意してチルド室に保存。試験開始時と3〜7日(食材によリ設定)後の重量を精秤しました。識者による見た目や味のチェックも行っています。
チェック1:定番食材の重量変化をチェック
食材の重量を個別に測定 → チルド室に3〜7日間保存する → 取り出して再度重量を測定する
ラップあり推奨している東芝、パナソニック、シャープ、三菱はラップあり・なしの2セットを用意。日立はラップなし推奨なのでなしのみを用意しました。
各食材の初日と一定日数後の重量から水分減少率を算出しました。ラップありの結果は全製品優秀だったので、今回はラップなしで評価しました。
重量が変わらないほど水分が減っていないため、鮮度が保たれています。
チェック2:実食で味の変化も確認
消費期限の範囲内で火をとおしたうえで試食。鮮度の変化によって味や食感に差が出ました。
2:野菜室 15点
野菜室とは野菜の鮮度を保つため、約3〜8℃と、冷蔵室より高温・高湿に設定された密閉構造の部屋。野菜のみずみずしさを損なわずに、1週間保存できるかを確認します。
7種類の野菜の水分変化を比較
「ほうれん草」「にんじん」「きゅうり」「なす」「しいたけ」「セロリ」「キャベツ(1/2)」と、根菜類・葉茎菜類・果菜類にきのこを加えた7種類の野菜を、袋に入れずに保存。試験開始時と7日経過後の重量から水分減少率を算出しました。
重量変化が少ないほど、皮にハリがあり、葉がしっかり広がっています。
水分が抜けると皮も葉も乾燥してシワが出て、おいしくなさそうです。
水分減少率が高いほど、鮮度が落ちたという評価です。料理のプロに見た目と味の変化も確認していただきました。
見た目と触(食)感も大切
重量が変わらないのにシナっている、減っているのに皮にハリがあるといった、数字だけではわからない変化は見て、さわって、食べてチェックしました。
3:冷凍室(通常)15点
冷凍室とは、氷点下に設定された部屋で、食品を凍らせて保存。JIS規格では−18℃以下と定めています。生の肉と魚を一度冷凍保存してから、解凍後のドリップ量を計測しました。
冷凍→解凍による変化を調べる
冷蔵で購入した生の「ステーキ肉」「マグロ(サク)」をラップに包んで、冷凍室に7日間保存後、ひと晩かけて冷蔵室で解凍。試験開始時との重量変化の確認と、プロによる試食を行いました。
短時間で冷凍するほど肉の繊維が壊れず、解凍時にドリップが出ないため、味も食感も冷凍前と変わりません。
4:冷凍室(急速)15点
冷凍室(急速)とは、通常の冷凍室より短時間で食材を凍らせる部屋。あたたかい食材の冷却にも利用されます。急速冷凍にかかる時間や食材の温度変化、あら熱取りの効果などを検証しました。
冷凍・冷却ともに速い冷蔵庫は?
常温の「ミンチ肉」「唐あげ」と炊きたてのご飯でつくった「おにぎり」の冷凍時間や状態と、常温および約50℃にあたためた「唐あげ」のあら熱取りの時間や温度から、総合的に評価しました。
5:使い勝手 30点
家電のプロと料理のプロが、それぞれの視点から各部屋の使い勝手や冷蔵庫ごとの独自機能を評価しました。
6:脱臭 10点
臭気判定士の石川 英一さんが、冷蔵室に入れたたくあんとししゃもの残臭が1時間で消えるのかを確認しました。
以上の6項目を比較検証した結果、評価の高かった商品からおすすめ順に発表します。
冷蔵庫のおすすめは?
商品 | おすすめポイント | ||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
東芝GR-U510FZ
|
|
ドアポケットの高さがワンタッチで自由自在/立てられる収納で食材が迷子知らず/庫内が明るくて見やすい |
650mm |
699mm |
1833mm |
118kg |
508L |
255kWh/年 |
|||||||
パナソニックNR-F608WPX
|
|
あったかい唐あげをたった3分で適温に!/コンプレッサーを上部に配置/冷凍室・野菜室が軽くて奥まで引き出せる |
685mm |
745mm |
1828mm |
116kg |
600L |
252kWh/年 |
|||||||
日立R-KXCC50S
|
|
冷蔵室全体がチルドだからビールがキンキン/在庫をスマホでチェック |
650mm |
699mm |
1875mm |
121kg |
498L |
315kWh/年 |
|||||||
シャープSJ-GK50J
|
|
閉め忘れがないオートクローズ/冷蔵庫に話しかけて使い方を聞いたり、メモを残したりできる |
650mm |
684mm |
1838mm |
105kg |
504L |
259kWh/年 |
|||||||
三菱電機MR-MZ54H
|
|
庫内が広々/給水パイプまで洗えます |
650mm |
699mm |
1833mm |
118kg |
540L |
276kWh/年 |
【1位】東芝「 GR-U510FZ」
- チルド室
- 野菜室
- 冷凍(通常)
- 冷凍(急冷)
- 使い勝手
- 脱臭
見事1位となったのは、野菜の鮮度を保つ野菜室「VEGETA(ベジータ)」の最高評価を獲得した東芝「GR-U510FZ」。野菜室・冷凍(通常)・脱臭の3項目でNo.1の評価と、文句なしの好成績です。
テストをして感じたのは、生鮮食品に気を遣わなくていいこと。野菜室とチルド室は湿度が高く、野菜と肉・魚の鮮度を保ってくれます。
冷凍室は急速機能を使わなくても、生の肉・魚ともにおいしさを損なわずに冷凍。買い物直後、「とりあえず」で食材に適した部屋に入れれば、最適な状態で保存してくれるので、主婦(夫)の味方です。
- おすすめポイント
-
- ドアポケットの高さがワンタッチで自由自在
- 立てられる収納で食材が迷子知らず
- 庫内が明るくて見やすい
- 幅
- 650mm
- 奥行
- 699mm
- 高さ
- 1833mm
- 重量
- 118kg
- 容量
- 508L
- 年間消費電力量
- 255kWh/年
- 型番
- GR-U510FZ(ZH)
▼庫内の平均温度・平均湿度
冷蔵室 容量:259L(チルド室含む)、平均温度:1.6℃
チルド室(パーシャル)容量:19L、平均温度:−1.0℃(上段)、平均温度:0.3℃(下段)
野菜室 容量:112L、平均温度:5.4℃
冷凍室(急冷)容量:24L
冷凍室(製氷)容量:20L
冷凍室 容量:93L、平均温度:−22.0℃
※庫内の平均温度・平均湿度は「標準」もしくは「中」モードでの24時間の実測値です。
庫内が広くて明るく奥まで見え、食材を整頓しやすいのがうれしいです。
メリット1:ドアポケットの高さがワンタッチで自由自在
観音開きの冷蔵室の扉を開けると、上2段にあるドアポケット。調味料をのせたままでも高さに合わせてワンタッチで調節できます。
メリット2:立てられる収納で食材が迷子知らず
仕切板があるので立てて収納ができ、すべての食材がどこにあるかすぐわかって整理もしやすいです。収納力があるので、冷凍食品のストックが多い家庭にはうれしいです。
メリット3:庫内が明るくて見やすい
天井面に庫内を明るく照らすLEDライト採用。天井に加えてドア側の左右もライトがつくことで、室内全体が明るく奥までハッキリ見渡せます。
デメリット:タッチオープンは賛否両論
両手がふさがっているときでもドアを開られけるタッチオープン機能。便利な一方で、体がぶつかると意図せず開いてしまうのは、狭いキッチンだと困るという意見もありました。
識者全員が称賛したのがドアポケットの調節しやすさ。調味料をのせたまま片手で動かせるので収納がはかどります。庫内が明るいことで広く見え、整理整頓しやすいのも、使い勝手をアシスト。ちょっとしたことですが、好印象を残しました。
冷蔵室・チルド
24時間測定で、冷蔵室・チルド室ともに日立に次ぐ高湿度だった東芝。チルド室(上)にラップなしで肉と魚を3日間保存したテストでも、メーカー推奨外の使い方ながらほとんど乾燥せず。室内の「うるおい」を実証しました。
野菜室
野菜室に7種類の野菜を7日間保存したテストで、最も重量の減少が少なかったのが東芝。2位のほうれん草、5位のしいたけ以外はトップの成績でした。
ほうれん草に関しても「ヘタリが少ない」(さわけんさん)、「葉の状態はいちばん」(桃世さん)と、識者は鮮度がキープされていると判断しています。野菜室が真ん中にあることもあり、野菜を重視したいならベストの選択です。
使い切り野菜BOXで切った野菜もラップ不要
ラップなしで野菜を保存できる「使い切り野菜BOX」。摘みたてのような鮮度をキープできます。切った野菜を7日間保存しましたが、乾燥はほぼ見られず、新鮮でした。
野菜の切り口もキレイです。
1人分の料理をすることが多いので、残った野菜をそのまま放り込めるのがラクです。
注目機能:野菜のゴミ捨て用の穴アリ
野菜から落ちた土やちぎれた葉など、野菜室は汚れがち。でも、東芝なら底に「おそうじ口」があるため、下に置いたゴミ箱に簡単に捨てられて清潔に使えます。
冷凍室
通常冷凍で凍らせたステーキ肉とマグロ(サク)。解凍後の重量変化も少なく、ドリップもほぼ出なかったことから、おいしさを閉じ込めていたことがわかります。試食でも状態のよさを確認できました。
一気冷凍はあら熱取りにも有効
食材を短時間で冷凍する「一気冷凍」でからあげのあら熱取りを試したところ、約10分で効果が見られました。10分で約50℃のからあげが約25℃まで冷めました。家族のお弁当づくりや調理に活用できます。
脱臭
▼テスト結果
- たくあん:◯
- ししゃも:◎
臭気判定士の石川さんが「冷蔵室を常時脱臭しているためニオイが広がりにくいです」というほど、光触媒の効果はてきめんです。
優れた脱臭機能もラフに使える理由のひとつ。ニオイが冷蔵庫内全体に広がらないため、ほかの食材へのニオイ移りを気にせずにすみます。
なお、東芝の技術スタッフのアドバイスにより、検証前に本製品のみ濡れタオルで加湿しています。鮮度保持のテストに有利に働いた可能性もありますが、それを差し引いてもバランスのいい一台といえます。
【2位】パナソニック 「NR-F608WPX」
- チルド室
- 野菜室
- 冷凍(通常)
- 冷凍(急冷)
- 使い勝手
- 脱臭
2位は、パナソニック「NR-F608WPX」。冷凍庫の急冷機能が高評価。チルドもラップを使えば他社と引けは取りません。
特に衝撃を受けたのが、クーリングアシストルームで設定できる「はやうま冷却」を使ったあら熱取り。もとが熱々ではなかったものの、あたたかい唐あげとご飯がたった3分で「これぞお弁当」という温度になりました。
冷やしすぎないことでごはんも固くならず、さすがに「揚げたてのおかずを3分で」とはいきませんでしたが、実用的な機能です。
- おすすめポイント
-
- あったかい唐あげをたった3分で適温に!
- コンプレッサーを上部に配置
- 冷凍室・野菜室が軽くて奥まで引き出せる
- 幅
- 685mm
- 奥行
- 745mm
- 高さ
- 1828mm
- 重量
- 116kg
- 容量
- 600L
- 年間消費電力量
- 252kWh/年
- 型番
- NR-F608WPX
▼庫内の平均温度・平均湿度
冷蔵室 容量:312L(チルド室含む)、平均温度:4.3℃
チルド室(パーシャル)容量:19L、平均温度:−3.1℃
野菜室 容量:125L、平均温度:8.3℃
冷凍室(クーリングアシスト)容量:31L
冷凍室(製氷)容量:19L
冷凍室 容量:113L、平均温度:−19.8℃
※庫内の平均温度・平均湿度は「標準」もしくは「中」モードでの24時間の実測値です。
3分であら熱がとれた「はやうま冷却」は、朝お弁当をつくる人には必須機能です!
メリット1:あったかい唐あげをたった3分で適温に!
「はやうま冷却」は3分で唐あげのあら熱を取ったうえ、食感も良好。家族の日々のお弁当づくりを効率化してくれます。設定はドアを開けずに変更できます。
メリット2:コンプレッサーを上部に配置
庫内の温度を一定に保つために欠かせないコンプレッサーを、手が届かずに使用機会の少ない冷蔵室最上段の奥のスペースに配置することで省スペースを実現。その分、最下段の野菜室・冷凍室が広くなります。
メリット3:冷凍室・野菜室が軽くて奥まで引き出せる
メインの冷凍室と野菜室の引き出しが軽く、最後まで引き出せるため、のぞき込まなくてもいちばん奥に入れた食材まで確認できます。
デメリット:ナノイーXの脱臭効果は弱め
ししゃもの残臭は薄まり、ほかの部屋へのニオイ移りをわずかに防いだものの、たくあんには十分な効果はありませんでした。
ナノイーXの効果なのか、においの質の不快さは低かったです。
注目機能:ハーゲンダッツはチルドで半解凍
チルド室を「パーシャル・強」に設定すると、ハーゲンダッツを食べごろの状態で約6時間保存できました。おすすめの裏ワザです。
3種類のクーリングアシスト機能がどれも実用的
- 冷ます:お弁当や調理済みの食材の温度を短時間で下げます
- 急冷:肉に調味料を染み込ませるなど、調理時間を時短します
- 急凍:45分もしくは60分で食材のおいしさを損なわず冷凍します
「業務用レベルの冷却」を謳うだけあり、短時間で冷凍も冷却も完了。家事の時短に貢献してくれます。
家事を効率化するアシストに加え、小柄な人でも扱いやすいように考えてつくられていたのがパナソニックです。手が届きにくい最上段の奥行きが狭く、冷蔵室の位置を低めにしたのがその理由。汚れが目立たず、高級感があってインテリアを選ばないデザイン性も高評価でした。
冷凍
通常の冷凍室で凍らせた精肉や鮮魚も、解凍時にほとんどドリップが出ませんでした。焼いて実食してみても味や食感の変化は感じられず、最適に保存してくれます。時間のあるときに下準備した食材や料理をホームフリージングしておけば、料理を効率化できることは間違いありません。
冷凍(急速)
クーリングアシストルームの「はやうま冷凍」機能を使えば、常温のミンチ肉と唐あげを45分という短時間で冷凍。しかも、ミンチ肉は少し力を入れれば包丁で切れる固さで、電子レンジで温めた唐あげはジューシーでした。
約50℃にあたためたおにぎりの冷凍テストでは日立とシャープより時間がかかりましたが、差はわずかでした。冷凍せずにあら熱取りができる「急冷」も実用的な機能だったため、総合力でNo.1の評価となりました。
チルド
表面がわずかに凍っているため、ドリップが出ず菌も繁殖しにくいです。
−3℃の「パーシャル」に設定したチルド室は湿度が約37%と低かったため、ラップなしの重量テストでは評価を下げました。ただ、表面はしっかり凍結しています。メーカー推奨のラップありなら乾燥が防げるので鮮度をキープできます。
野菜室
見た目のキレイさは上位
きゅうりとキャベツの減少率が高め
24時間の平均温度が8.3℃と、もっとも高かった野菜室。7日間の重量変化のテストでは中間の評価でしたが、識者による見た目と触感の評価は上々。特になすのハリは購入時との差がわずかで、セロリも葉・茎ともにしっかりしていました。
なすはシワが少ないうえ、皮と身がはがれていなくて、かなりいい状態でした。
野菜室とチルド室は評価が伸びませんでしたが、野菜は重量が減ったわりに状態がよく、チルドはラップなしの評価で統一しているためメーカー推奨の使い方でないことが要因。それでも2位という結果にポテンシャルの高さは感じます。
【3位】日立「 R-KXCC50S」
- チルド室
- 野菜室
- 冷凍(通常)
- 冷凍(急冷)
- 使い勝手
- 脱臭
3位は、日立「R-KXCC50S」。高気密で肉と魚の鮮度をしっかり保った「特鮮氷温ルーム」(チルド室として評価)は満点の一方で、野菜が凍っていた野菜室は最低点と、極端な評価になりました。冷凍室は通常・急冷ともに他社と差がなかっただけに、惜しい結果です。
冷蔵室全体をチルドして、ラップなしでも鮮度を長持ちさせる「特鮮氷温ルーム」を備える、下2段を野菜室と冷凍室の切替式にするなど、日立の冷蔵庫は独自路線。野菜室を2段にして冷凍庫は別に用意するといった使い方もできます。ミラータイプのトビラはスタイリッシュでおしゃれですが、汚れが目立つのでマメに掃除が必要なのは気がかりでした。
- おすすめポイント
-
- 冷蔵室全体がチルドだからビールがキンキン
- 在庫をスマホでチェック
- 幅
- 650mm
- 奥行
- 699mm
- 高さ
- 1875mm
- 重量
- 121kg
- 容量
- 498L
- 年間消費電力量
- 315kWh/年
- 型番
- R-KXCC50S
▼庫内の平均温度・平均湿度
冷蔵室 容量:271L(特鮮氷温ルーム含む)、平均温度:1.2℃
特鮮氷温ルーム 容量:14L、平均温度:0.3℃
切替室(野菜) 容量:92L、平均温度:4.1℃
冷凍室 容量:26L
冷凍室(製氷)容量:21L
切替室(冷凍) 容量:88L、平均温度:−21.2℃
※庫内の平均温度・平均湿度は「標準」もしくは「中」モードでの24時間の実測値です。
冷蔵室全体をチルドして、ラップなしでも鮮度を長持ちさせる「特鮮氷温ルーム」を備える、下2段を野菜室と冷凍室の切替式にするなど、日立の冷蔵庫は独自路線。野菜室を2段にして冷凍庫は別に用意するといった使い方もできます。ミラータイプのトビラはスタイリッシュでおしゃれですが、汚れが目立つのでマメに掃除が必要なのは気がかりでした。
メリット1:冷蔵室全体がチルドだからビールがキンキン
冷蔵室全体が約1℃の低温・約75%の高湿のチルドのため、ビールはキンキンに冷え、サラダはラップなしでもみずみずしさが保てます。
メリット2:いつもの“アレ”の在庫を見える化
上部に備えたカメラで、ドアを開けるたびに写真をスマホに転送。買い物時に常備品の有無がチェックできます。
特鮮氷温ルーム
※※上段の数値です
高湿・高気密の「特鮮氷温ルーム」は、肉と魚の鮮度を3日間完璧にキープして最高評価です。試食でも、豚ロースは「ラップなしでも変わりません」(さわけんさん)、干物は「ふっくらしておいしい」(桃世さん)と、こちらも満点評価。ただ、0℃前後なので入れた食材は翌日には消費したいです。
温度と湿度のバランスがよくて鮮度が続くので、近々食べる食材の保存に最適です。
切替室
7日間で野菜がカチカチに凍っていた
もっとも衝撃を受けたのは野菜室。平均温度は4.1℃でしたが、しいたけ以外は凍っていました。「野菜室は繊細な温度管理が必要」(さわけんさん)なので、様子を見ながら設定で温度調整を行う必要がありそうです。
野菜室の温度設定ができるのも日立だけです。
【4位】シャープ 「SJ-GK50J」
- シャープSJ-GK50J
- 実勢価格: ¥205,447〜
母の日ギフト・プレゼント特集開催中!楽天市場で見る¥205,447〜
- チルド室
- 野菜室
- 冷凍(通常)
- 冷凍(急冷)
- 使い勝手
- 脱臭
4位は、シャープ「SJ-GK50J」。「プラズマクラスター」の効果か、脱臭の評価は東芝に次ぐ2番手。特にししゃものニオイはほとんど残りませんでした。2段のチルド室は湿度が高く、ラップなしでも鮮度が続いたのは驚き。急速冷凍も速く高い評価になりました。
トビラを開け閉めするとおしゃべりするという、冷蔵庫らしからぬ機能のインパクトが大きかったのがシャープです。特に評価が高かったのはチルド室上段の「うるおいチルド」。気密性が高く、ラップなしでも想像以上に鮮度が続きました。短時間で食材を冷凍する「おいそぎ冷凍」、湿度の高かった野菜室も評価は上々。脱臭機能も優秀です。
- おすすめポイント
-
- 閉め忘れがないオートクローズ
- 冷蔵庫に話しかけて使い方を聞いたり、メモを残したりできる
- 幅
- 650mm
- 奥行
- 684mm
- 高さ
- 1838mm
- 重量
- 105kg
- 容量
- 504L
- 年間消費電力量
- 259kWh/年
- 型番
- SJ-GK50J
▼庫内の平均温度・平均湿度
冷蔵室 容量:265L(チルド室含む)、平均温度:3.5℃
チルド室 容量:19L、平均温度:2.3℃(上段)、1.6℃(下段)
野菜室 容量:89L、平均温度:2.6℃
冷凍室 容量:30L
冷凍室(製氷)容量:22L
切替室(冷凍) 容量:98L、平均温度:−20.1℃
※庫内の平均温度・平均湿度は「標準」もしくは「中」モードでの24時間の実測値です。
COCORO HOMEは、ほかのシャープ製品と連携するとより効果的に使えそうです。
メリット1:買い物メモもおまかせ!冷蔵庫と会話する未来感
実用にはまだ懸念があるものの、「COCORO HOME」と連携することで、冷蔵庫に話しかけて使い方を聞いたり、メモを残したりできます。
メリット2:閉め忘れがないオートクローズ
冷蔵室のドアが開いていると、自動的に閉まるため閉め忘れがありません。また、センターピラーがないため開け閉めしやすいのも特徴です。
チルド室
上段は高湿・高密閉で乾燥を防ぐ
チルド室上段は平均湿度が最も高く、精肉・鮮魚ともに重量変化が少なく高評価でした。温度は高めのため長期保存には向きませんが、ラップなしで保存した豚ロースや鯛(サク)を試食したさわけんさんも「明日食べる食材を保存するのにいいです」と太鼓判です。
下段は低温度で長期保存向き
下段のほうが平均温度が低く、長期保存向き。湿度が低いのでラップは必須です。
冷凍室
ステンレストレーを使った「おいそぎ冷凍」は、約50℃のおにぎりの中心温度を−18℃まで一気に下げました。「つくりおき急冷」も20分かかったものの、唐あげのあら熱をしっかりとりました。
ミンチ肉も短時間でカチカチに
「お急ぎ冷凍」でミンチ肉を急冷したテストでは、切るのが困難なほどカチカチに凍っていました。
【5位】三菱 「MR-MZ54H」
- 三菱電機MR-MZ54H
- 実勢価格: ¥203,000〜
母の日ギフト・プレゼント特集開催中!楽天市場で見る¥203,000〜
- チルド室
- 野菜室
- 冷凍(通常)
- 冷凍(急冷)
- 使い勝手
- 脱臭
5位は、三菱「MR-MZ54H」。野菜のうるおいをキープした野菜室は東芝と並んでトップの評価です。通常の冷凍も好結果でしたが、急速は時間がかかり気味。ラップなしと条件が厳しかったチルドと、脱臭の評価が伸びなかったのが合計点に響きました。
今回は4製品が本体幅65cm・500Lクラスでしたが、そのなかで三菱は540Lと圧倒的に大容量。製氷の給水タンクを床に埋め込んだことで冷蔵室とチルド室は、600Lのパナソニックよりも余裕があります。平均湿度が90%を超えた「朝どれ野菜室」と、A.I.が霜を防ぐ冷凍室は水分の低下が抑えられており、安心して食材の保存をまかせられます。
- おすすめポイント
-
- 庫内が広々
- 給水パイプまで洗えます
- 幅
- 650mm
- 奥行
- 699mm
- 高さ
- 1833mm
- 重量
- 118kg
- 容量
- 540L
- 年間消費電力量
- 276kWh/年
- 型番
- MR-MZ54H
▼庫内の平均温度・平均湿度
冷蔵室 容量:298L(チルド室含む)、平均温度:3.6℃
チルド室 容量:26L、平均温度:0.5℃(上段)、−1.1℃(下段)
野菜室 容量:103L、平均温度:4.0℃
冷凍室(独自) 容量:29L
冷凍室(製氷)容量:19L
冷凍室 容量:91L、平均温度:−18.0℃
※庫内の平均温度・平均湿度は「標準」もしくは「中」モードでの24時間の実測値です。
すべての部屋が仕切られた独立構造。部屋ごとの温度が異なり、使い分けできます。
メリット1:同じサイズなのに庫内が広々
薄型断熱構造と製氷室の給水タンクを埋め込んだことで、65cm幅の4製品中では最大の容量を誇っています。
メリット2:給水パイプまで洗えます
タンクと製氷皿だけでなく給水パイプやフィルターまで、すべて取り外して洗えるので、手入れが簡単なのは三菱だけ。うめまるさんは「製氷皿のロックがないので取り外しやすいです」と取り回しのよさにも注目していました。
野菜室
24時間の平均湿度が90%を超えていたのは三菱のみ。この湿度が野菜の鮮度を保っていたと考えられます。
特にきゅうりは「いちばんみずみずしかった」(桃世さん)と、食べても高評価です。一方で、ほうれん草とセロリは「茎がフニャフニャ」(さわけんさん)と、野菜で評価が分かれました。
にんじんやきゅうりをタテ置きできるスペースがあり、専用ケースも付属します。
冷凍室(独自)
独自の冷凍技術だったのが、「切れちゃう瞬冷凍」。冷凍したミンチ肉が軽い力でスッと切れるのは感動しますが、気になったのは冷凍時間。急速冷凍の技術ではないので、余裕をもって冷凍する必要がありました。
切れちゃう瞬冷凍で冷凍した食材は扱いやすいです。
おわりに
以上、冷蔵庫のおすすめ5選でした。
テストは想像以上の大混戦。そんななかでも3項目でトップの成績を残した東芝は、文句なしのベストバイ。欠点らしい欠点がないうえ、野菜の鮮度の高さと、イヤなニオイが広がらなかった脱臭能力が素晴らしかったです。24時間扉開閉がないと、自動でより節電するモードに切り替わる自動節電機能も省エネ&エコで環境に配慮したつくりもうれしいです。
「女性や主婦(夫)のユーザー目線で考えられています」と、識者から使い勝手のよさが好評だったのが、2位のパナソニック。1日に何度も使うものだけに、食材の出し入れでストレスを感じないだけでも大きなアドバンテージといえます。
今回は細かいものまで含めると全項目で10以上のテストをしましたが、それにより3位以降の製品の得意な面もハッキリしました。
日立とシャープは精肉や鮮魚の保存で好成績を記録。ラップなしで保存しても、3日間水分をキープしていたのは驚きでした。日立の「特鮮氷温ルーム」という特殊な設定のチルド室がベストですが、シャープのチルド室も引けを取らず優秀でした。
三菱は野菜の保存に関しては東芝と同等の成績のうえ、容量は横幅65cmの製品ではトップ。このように得意機能を知って、自分のライフスタイルにぴったりの冷蔵庫を選びましょう。
庫内温度が低いのでキンキンに冷えます。