家電 後悔のない扇風機選びのための知っておくべき扇風機新常識

省電力性や自然な風など、ここ数年で大幅に進化した扇風機。冷気が苦手な人や換気が必要な環境ではエアコンに代わって重宝されたり、逆にエアコンとの併用によって冷房効果を高めたりなど、使用目的が増えたこともあって買い増し需要が伸びています。

しかし、今どきの扇風機は数千円クラスから6万円オーバーまでと、価格差が非常に大きくなっています。家電量販店にズラリと並ぶ高額扇風機とホームセンターの安いモデルに一体どんな違いがあるのか。

購入してから後悔しないため、今回は「扇風機の価格差の理由」について、詳しくご紹介いたします。

それではまずはこちらの一覧表をご覧ください。一般的な格安扇風機と、今や標準的となった価格帯の扇風機のスペックを比較したものです。

後悔のない扇風機選びのための知っておくべき扇風機新常識 イメージ

このうち、①~③それぞれに価格差の理由が潜んでいます。順を追ってご説明致します。

家電 [理由①]モーターの違いが価格と風の質を大きく変えます

もっとも価格に直結するのはモーターの違いです。

モーターには[AC]と[DC]の2種類がありますが、昔ながらの安モデルにはACモーターが、最近のお高めモデルにはDCモーターが搭載されています。その違いを4つのポイントに分けました。


[ポイント①]DCモーターは
身体に優しい弱風が得意


かつての扇風機は大まかに「強」「中」「弱」などの切り替えでしたが、DCモーターを搭載すると、とんでもなく繊細な切り替えができるようになります。

例えばこちらはシャープ「PJ-F30G」(実勢価格:2万3800円)は、なんと33段階の調整が可能です。

[理由①]モーターの違いが価格と風の質を大きく変えます イメージ

果たしてそこまで必要かどうかは別として、重要なのは「風を弱くすることができる」点です。ゆっくりと羽根を回して柔らかい風を送り、身体への負担を和らげることができるのがDCモーターの強みです。


[ポイント②]DCモーターは羽根の枚数を増やして
きめ細かく快適な風を起こせます


扇風機の羽根はだいたい4枚くらい? というイメージがあるかもしれませんが、DCモーター搭載モデルだと7枚以上、多いものでは17枚羽根なんてモデルも。

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羽根の数が変わると送風される風の質に違いが出ます。枚数が多いと、きめが細かい風となり、人体に向けて送風すると快適に感じるのです。


[ポイント③]DCモーターは二重構造の羽根で
自然に近い風をつくることができます


DCモーターを搭載した扇風機の多くには、大きな羽根と小さい羽根の二重構造を採用しています。

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羽根が二重構造になっていると、それぞれの羽根から発生する風速の違いで風をぶつけることにより、自然な風を発生させることができます。


[ポイント④]DCモーターは
省電力っぷりもすごい!


DCモーターの消費電力は、ACモーターに比べて1/3以下!

[1日8時間で4ヶ月使用した場合の電気代]
ACモーター(50W)約1056円
DCモーター(16W)約338円

とはいえ、1シーズンで700円節約できたとしても、本体の価格差を埋められる程ではありません。


[モーターまとめ]

DCモーターとACモーターに大きな格差が生じていることはおわかりいただけたのではないでしょうか。DCモーター搭載モデルは、とにかく身体に優しいんです……が、そのぶん高いのも事実。

[理由①]モーターの違いが価格と風の質を大きく変えます イメージ4

安くて率直な風のACモーターか、最先端の自然風DCモーターか。機能の違いがダイレクトにお値段に直結する部分だけに、ぜひ深くご検討ください。

家電 [理由②]稼働域の違いで汎用性と価格に差がでます

モーターに続き、わかりやすい違いがあるのは「首振りの角度」です。特に、左右よりも上下の稼働域の差で価格に大きな違いが出ます。日立の名作、HEF-DCシリーズで比較してみましょう。

HEF-DC5000:扇風機:家電

HEF-DC5000(実勢価格:1万9300円):写真のように真上を向きます
HEF-DC300(実勢価格:1万7770円):真上はムリ


もちろん、他の機能の有無もありますが、DCモーターを搭載するモデル同士でも、真上を向けるレベルの稼働域の違いで、およそ9000円近くの差がでます。

ところで、真上に扇風機を向けても、そんなところに人はいないよ、と思った方、鋭いですね。コレは扇風機というよりもサーキュレーターとしての使用、つまり室内の空気を循環させることを目的とした機能です。


[サーキュレーターとして活用する方法]

扇風機に搭載されているサーキュレーター機能は、専用機に比べて擬似的にサーキュレーション効果を発生させています。特に首の角度が真上を向くタイプでは、天井付近の空気を循環させることができるので、冬場の暖房にも効果的です。

扇風機でサーキュレーション効果を実現するのは2通りあります。


①首の角度で実現

[理由②]稼働域の違いで汎用性と価格に差がでます イメージ

風の質は通常の扇風機と同じですが、風向を調節することでサーキュレーション効果を得るタイプ。


②風量で実編

[理由②]稼働域の違いで汎用性と価格に差がでます イメージ2

通常運転よりも強い風力でサーキュレーション効果を実現するタイプ。遠い場所の空気も循環できます。

現在は、このハイブリッドに近いタイプも存在します。別途サーキュレーターを購入するくらいなら、搭載モデルを検討するのも良い手です。

家電 [理由③]付加機能の多寡でも価格が大変動します

温度センサーやコードレス、人感センサーなど各社独自の付加機能が搭載されたモデルがラインナップされています。高級機になるほど、多くの付加機能が搭載される傾向にありますが、機能によっては非搭載モデルとの価格差が1万円以上にもなります。

例えばこんな感じです。

[理由③]付加機能の多寡でも価格が大変動します イメージ
[理由③]付加機能の多寡でも価格が大変動します イメージ2

あれもこれもと欲張ってもいいのですが、例えば「軽い」「静か」「リモコンがある」など、テーマを絞らないとハイエンド一択になります。

もちろん、希望にドンピシャならいいのですが、高コストをさけたいならば、よほど必要ない限り非搭載でも問題ありません。

以上、扇風機の価格差の秘密でした。あらためて家電量販店やWEBで扇風機をご覧頂ければ、価格の理由がご理解頂けるかと思います。

この夏、最強の扇風機、ぜひ見つけてみてください!


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