ガンコすぎる油汚れは アルカリ洗剤と蒸気で解決!

換気扇にこびりついた、いわゆるガンコな油汚れとは、有機物がホコリを取り込みながら結晶化したものです。なので、対処方法としてはアルカリ性洗剤による油の剥離が有効です。ただ、浸け置くだけでは時間と手間がかかりますし、相手が強力すぎると太刀打ちできない場合も。

そこで、奥の手となるのが100℃の蒸気を噴出させて汚れをこそげ落とすスチームクリーナー。洗剤によってゆるんだ油の結晶に、蒸気を当てつつブラシで擦り上げる。つまり、汚れを溶かしながら磨き上げていくわけです。

ガンコな油汚れを相手にするならば、この2つの手段を組み合わせることが最適解である。その結論を導きだした激闘の記録、ぜひご覧ください。

メインアイテムは「マジックリン」 &アイリス「スチームクリーナー」

まずは、何よりもカンジンである使用アイテムについてご説明いたします。まずはこちら、油汚れを落とすためには不可欠である市販洗剤の雄「マジックリン ハンディスプレー」です。

掃除:花王:マジックリンハンディスプレー

花王
マジックリン ハンディスプレー
実勢価格:1517円
※ハンディスプレー 本体+付替え×2個
 

当サイトの記事「万能洗剤は幻想。とは言いませんが 結局、マジックリンで十分でした。」でも詳しくご紹介しておりますが、市販されている洗剤11製品中ナンバーワンの油落とし力を誇るうえ、どこでも買えて、かつ安いという、全方位スキの無い洗剤なのです。

しかし、これ1本では、放置された分厚い油の層を解決するのは厳しい場面もあります。そこで登場するのがこちらのスチームクリーナーです。

スチームクリーナー:アイリス:アイリスオーヤマ:コンパクトタイプSTM-304

アイリスオーヤマ
スチームクリーナー
コンパクトタイプSTM-304
実勢価格:4116円
 

使いやすくて汎用性もあり、おまけにズバぬけて安い、5年以上ものロングセラーであるスチームクリーナーの名品です。最新モデルと比較するとやや形式が古くはありますが、ボイラー式で安定した蒸気を噴出できるいい品です。

このふたつの名品に加え
・キッチンペーパー
・台所用洗剤
・スポンジ
・手袋
・新聞紙
といった補助用具も使用しました。

準備が整ったところで、まずは当記事担当編集者の自宅の「5年放置モノ」換気扇掃除に挑みます。

【検証1】編集部宅の5年放置換気扇 30分で引っ越し当初の輝きが復活

検証緒戦は担当編集である私の自宅。住み始めて5年が経ちますが、一度も換気扇を掃除したことはないので良いサンプルになるのでは、と夜更けにカメラマンと共にキッチンの奥を見上げてみれば、そこには想定外のレベルまで汚れた換気扇がありました……。

【検証1】編集部宅の5年放置換気扇30分で引っ越し当初の輝きが復活 イメージ
[検証スタート]5年モノ換気扇 

普段はあえて目を背けていましたが、いざ目の当たりにするとあまりの汚れっぷりにおののきます。

【検証1】編集部宅の5年放置換気扇30分で引っ越し当初の輝きが復活 イメージ2
[5分経過]マジックリンを塗布 

埃を頭に受けながら換気扇を解体し、キッチンペーパーで部品を包んだ上からマジックリンを塗布。この状態で5分待ちました。

【検証1】編集部宅の5年放置換気扇30分で引っ越し当初の輝きが復活 イメージ3
[ポイント]キッチンペーパーの活用 

キッチンペーパーを使ったのは、マジックリンが流れ落ちるのを防ぎ、対象物へ長時間影響を与えるためです。

【検証1】編集部宅の5年放置換気扇30分で引っ越し当初の輝きが復活 イメージ4
[15分経過]擦り洗っても落ちない 

キッチンペーパーに油が染みたので成果に期待しましたが、一部の厚い汚れはそのまま。食器用洗剤とスポンジで洗い流そうとしたものの、油が伸びるばかりで落ちきらず。

【検証1】編集部宅の5年放置換気扇30分で引っ越し当初の輝きが復活 イメージ5
[20分経過]スチームクリーナー登場

汚れが残った部分に食器用洗剤を垂らし、その上からブラシを装着したスチームクリーナーで磨き上げると、油汚れが溶けていく! この感覚は素敵でした。

【検証1】編集部宅の5年放置換気扇30分で引っ越し当初の輝きが復活 イメージ6
[25分経過]乾拭きしたらピカピカに! 

スチームクリーナーで洗浄した後、食器用洗剤とスポンジで細かい汚れを洗い流し、キッチンペーパーで乾拭きすると、まるで別物に!

[リザルト]

【検証1】編集部宅の5年放置換気扇30分で引っ越し当初の輝きが復活 イメージ7
Before 
【検証1】編集部宅の5年放置換気扇30分で引っ越し当初の輝きが復活 イメージ8
After! 

時間 30分
労力 ★★☆☆☆
根気 ★☆☆☆☆


検証現場に同行していただいたカメラマン氏が「悪いけど、これは触れないっす」と眉をひそめたほどの換気扇さえも、30分で新品同様に仕上げたのは見事といえる結果ではないでしょうか。マジックリンだけでの完遂は果たせませんでしたが、弱った汚れにとどめを刺したスチームクリーナーが共にあるならば、もうどんな汚れも怖くない!

しかし、この直後、調子に乗りすぎたと気づかされました。

【検証2】120分の死闘の結末 老舗居酒屋の換気扇が輝く

緒戦の成果に気を良くした取材班は、さらなる難敵を求め、会社近くの老舗居酒屋を訪れました。厨房の奥で待ち受けていたのは、同店の歴史を無言で語る換気扇。しかも掃除に不利な壁から外せないタイプ。これは無理かもしれない。現場にはそんな空気が漂います……。

【検証2】120分の死闘の結末老舗居酒屋の換気扇が輝く イメージ
[検証スタート]高すぎたハードル 

仕込み前にお邪魔した同店の厨房の最奥。そこで待っていた年季たっぷりの換気扇。厳しい戦いが待つことを誰もが予感しました。

【検証2】120分の死闘の結末老舗居酒屋の換気扇が輝く イメージ2
[10分経過]マジックリンを塗布 

羽の1枚1枚、支えとなる部分、そして周囲にマジックリンを染み込ませたキッチンペーパーを貼付けていくと、直後に汚れが浮いてきました。念を入れ、ここではこのまま10分間放置しました。

【検証2】120分の死闘の結末老舗居酒屋の換気扇が輝く イメージ3
[ポイント]養生は必須 

壁掛けタイプの換気扇は、周囲に洗剤や汚れが飛び散るのが避けられないので、確実な養生をすませておきましょう。要するに、周りに新聞紙などを設置して防御する体勢を整えるということです。

【検証2】120分の死闘の結末老舗居酒屋の換気扇が輝く イメージ4
[30分経過]汚れが落ちない

しかしキッチンペーパーを剥がしてもあまり変化がない……。スポンジと台所用洗剤で擦ってみても汚れが粘るだけで手に負えません。

【検証2】120分の死闘の結末老舗居酒屋の換気扇が輝く イメージ5
[45分経過]スチームクリーナーも効かない 

食器用洗剤を塗りたくったうえでスチームクリーナーをあてるも根本的解決にならず。ネバネバの層が厚すぎて、どうにもなりません。

【検証2】120分の死闘の結末老舗居酒屋の換気扇が輝く イメージ6
[60分経過]2週目にトライ 

やむなく、再度マジックリンに浸すところから2週目を開始……。

【検証2】120分の死闘の結末老舗居酒屋の換気扇が輝く イメージ7
[120分経過]面目は保った 

同様の行程を繰り返したところ、どうにか本体の表面が露になり、新品とはいかないまでも、往年の輝きが取り戻せました。

[リザルト]

【検証2】120分の死闘の結末老舗居酒屋の換気扇が輝く イメージ8
Before 
【検証2】120分の死闘の結末老舗居酒屋の換気扇が輝く イメージ9
After! 

時間 120分
労力 ★★★★★
根気 ★★★★★


汚れの層が厚すぎたというのもありますが、換気扇が壁から外せないため無理な体勢での作業が続き、効率が上がらず、疲労感が溜まったことも苦戦の原因でした。ご自宅で作業される際は、必ず一度バラしてから作業することを強くオススメします。

最後に。

マジックリンだけでも、スチームクリーナーだけでもこの結果が得られなかったことは明白です。冒頭でお伝えした「最適解」の意味、お分かりいただけたのではないでしょうか。かなか深夜番組みたいにはいかないけれど、不思議な充足感が胸に残ることは確かです。