Amazonの王者 Amazonの外へ

バッテリー、電気ケーブル、ポータブルスピーカーなどAmazonの多くの分野でシェア1位を誇るアンカー。いわばAmazonの王者です。このアンカーが意外にもAmazonの外に出て活動しはじめました。

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猿渡歩氏
アンカー・ジャパン株式会社執行役員 事業戦略本部 統括

Amazonの王者はなぜその地位を捨て、あえてAmazonの外に出たのか、なぜ王者のポジションを捨ててまで冒険に出なければならなかったのか、その真意を聞き出したインタビューがこちらです。

Amazonの「次」を見た 新たな戦略をスタート

──今回の「Amazon外」での展開ですが、これにはどういった戦略があるのでしょうか?

猿渡氏 はい。ありがたいことにアンカーはAmazonにおいて、バッテリー、電気ケーブル、ポータブルスピーカーといった分野で、シェア1位を獲得しています。

これを維持すること自体も非常に大変なんですが、例えばシェアを10%から20%まで伸ばすのと、40%から50%まで伸ばすのでは、やはり後者が圧倒的に難しいんですね。そのため、今後の成長を踏まえてAmazonや楽天以外の、新たなチャンネルを開拓したいと考え、今回のような展開に乗り出しました。

またチャンネルが一極集中すると、サービスの終了など万が一の場合に一気にお客様を失ってしまいますので、リスクヘッジの観点からも今後はチャンネルを広げていきたいと考えています。

──Amazonで一定の地位を築いたからこそ、新たな展開が必要になったということですね。

猿渡氏 そうですね。あとAmazonや楽天といった大手プラットフォームは集客力があるので、当然売り上げも伴いやすいのですが、一方でお客様のことを詳しく知ることができないという課題もあります。

売り上げなどの最低限のデータは取れますが、性別や年齢層などのマーケティング的に気になる情報を取ることができれば、そちらを製品や販売方法にもフィードバックし、結果として大手プラットフォームでの展開にも活かすことができるかなと考えています。

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(※アンカー公式サイトより)

5月末に公式オンラインストアがスタート。購入時にポイントがつくのが特徴です。

オンラインの次は リアルでシェアを取る

オンラインの次はリアルでシェアを取る イメージ

リアル店舗は2018年9月までの期間限定。大阪の「ららぽーとEXPOCITY」で直営店を展開。

──いわゆる「リアル店舗」を初展開とのことですが、こちらの狙いをお聞きしてもいいでしょうか?

猿渡氏 アンカーをより多くの方に知っていただくことです。オンラインではしっかりシェアが取れているので、知っている方は多いです。ただそういった方も、アンカーというブランドで買っているかどうかは別だと思っていて、結局は1位だから買うという方も多いかと思います。

特にモバイルバッテリーという分野では、アンカーはオンライン上では非常に大きなシェアを持っています。ただそれでも、その辺のカフェに行って「アンカー知ってますか?」って聞くと、まだまだ知らない方も多いのが現実です。

今後はそうした知名度を上げていくためにも、リアル店舗でアンカーコーナーとかアンカーストアという形で露出することで、名前を出していくことは、大事だと思っています。

──今回の直営店は9月までの期間限定とのことですが、今後もこうした取り組みを継続していくことは視野に入っているのですか?

猿渡氏 はい。大阪の直営店が、今、結構売り上げが好調で。ここがうまくいけば、今後も実験的に増やしていくことは考えています。

売上ももちろんですが、直営店で大切にしたいのはお客様のニーズや生の声を聞くことです。ここで得たデータは今後のリアル店舗での展開に活かしていきたいと思っています。

ファンとの交流をもっと 増やしていきたい

──今後どういったブランドを目指していきますか?

猿渡氏 アンカーだから買う、と言ってくれるファンの方をもっと増やしたいと思っていますね。例えば、2~3万円でスマホって買える時代なのに、価格が十数万円もするiPhoneをアップルだから買うという方もいると思います。

そういう方って、いわゆる「アップルファン」ですよね。アンカーもそんな「アンカーファン」を増やしていくことが企業としても大事だと思いますし、そういった人たちとうまく成長できれば、とてもいいなと思いますね。

そのためにも、今後はAmazonだとなかなか難しかったファンとの交流の機会を増やしていきたいです。例えば公式オンラインストアでポイント還元以外にもプレゼント企画をやってみるなど、さまざまな形で交流していければ、と考えています。

ファンとの交流をもっと増やしていきたい イメージ

「目標としてはアップルストアのような、直接お客様に手に取ってもらい、コミュニケーションができる店舗が持てるようになりたい」と猿渡氏。

アンカーは今回、さらなる“野望”を秘めてAmazonを飛び出した、と言えそうです。