


北島 圭介/Test by 家電批評編集部
公開日: 2018年05月28日
それ「毒りんご」かも…Amazonの偽アップル製品を分解調査!
りんごマークを見れば誰でもわかるApple製品。でもネットなどで出回っている製品には、見ためもそっくりで、純正品と書いてあっても、ニセ物ということがあるんです! こうなるとオマージュどころか偽造、もはやサギです…。前回、アマゾンで売られているAppleそっくりの3製品を編集部で分解してテストしました。今回はさらに専門家が分析。プロの視点で徹底調査しました!
アマゾンレビューは200件近く
これ本物? ニセ物?
アマゾンで「iPhone イヤホン」と検索すると、純正品のほかに類似商品が山ほどヒットします。しかも類似商品の中にはレビュー数が200件近いものもあり、かなりたくさんの人が購入していることがわかります。

この“ニセ物イヤホン”は「iPhone イヤホン 新品 未開封 Apple正規品 純正」という名前で売られています。レビューには問題なく使えるというコメントもありますが、全体的には星1の低評価が4割を超えていて、品質が心配な商品です。 実際に中身を調べてみましょう。今回の調査では、エンジニアの古賀竜一さんにご協力いただきました。

[エンジニア]古賀竜一さん NTT関連のエンジニアリング会社に勤務後、独立。機械設備関連事業を創業し、エンジニアとして活動後、ITサポート事業の「九州インターワークス」を創業。
イヤホンは振動板がまるで別物。
色も微妙に「きなり色」です
まずはイヤホンです。こちらはApple純正品です。


Apple EarPods with 3.5㎜ Headphone Plug 実勢価格:3280円
こちらがニセモノです。一見同じように見えますよね。色はAppleのほうが、よりクリアな白でした。(写真の撮り方が悪く、あまり色の違いがわからないかもしれませんが、実際には差があります)


メーカー不明 iPhone イヤホン 新品 未開封 Apple正規品 純正 実勢価格:1740円 では中を開けてみましょう。


こちらは振動板部分をアップにしたものです。振動板は溝の形状になっていて、これで「音」の個性が出ます。


見てわかるとおり、ぜんぜん違います。Appleの振動板は溝がきちんとありますが、ニセ物には溝が一切なく平坦です。古賀さんも「本当に音が出るの?」と驚いたほど。 もちろん音は出ますが、回路とコードをつなぐはんだ付けも甘く、軽い衝撃で外れてしまいそうです。
ACアダプタは電流電圧が不安定!
低性能だけでなくリスクもあります
次は電源アダプタを調べてみましょう。こちらはApple純正品です。

Apple 60W MagSafe 電源アダプタ 実勢価格:1万800円
こちらがニセ物です。

JiooTech MacBook Pro用 交換用ACアダプタ 実勢価格:3999円 それぞれ中を開けたところです。向かって右がApple純正品、左がニセ物です。

[チェック1]基盤部分 Apple純正品の基盤部分は、電気的な影響(ノイズ)を軽減するアルミシールドでしっかりガードされています。

それに対してニセ物にはシールドがなく、回路や基盤がむき出し状態です。安定した電流・電圧を送れず、接続しているPCの寿命を縮める可能性もあります。

[チェック2]アース配線 今度はアース配線を見てみます。Appleはしっかり接続されています。

ニセ物は、アースと回路の間に隙間があります。また、回路とコードの接続部分を保護するものが見あたらず、ショートや劣化による断線の危険性が高いです…。

チェック1・2の結果、ニセ物は電流の安定化や安全性の対策がされていないという点が致命的でした。また、外装の素材が安っぽく、耐衝撃性にも不安がありました。 古賀さんも「本体への影響が大きいアダプタは純正品がオススメです」とのことでした。
偽iPhoneケーブルは
漏電対策がされていません
それでは3つめ、ライトニングケーブルを見てみます。まずはApple純正品のコネクタ部分です。基盤がコーティングされ、完全防御されています。


Apple Lightning USB-Cケーブル(1m) 実勢価格:2877円
以下がニセ物です。古賀さんが「簡素な作りです」とコメントするように、ニセ物は回路のコーティングがありません。外皮部分が破損した場合、水分などでショートする危険性も高いです。


メーカー不明 Lightning - USBケーブル(1m) 実勢価格:800円 ニセ物は回路が簡略化されているため、Apple製品を接続したときの認証がうまくいかず、通信や充電の質が劣化する可能性があります。基盤の保護処理もないため、安全性に疑問が残りました。
[結論]最低限をクリアしていない
模倣品はリスクが高いです
今回のニセ物3製品は、普通に充電したり、音楽を聞くことはできます。安いならお得? という考え方もありそうですよね。でもチェックしてみると、どれも製品として必要最低限の処置がされていません。これは、価格差で選ぶことができない問題です。安全面でも、怪しいニセ物は避けたほうがベターというのが、今回の徹底調査の結論となりました。
一見Appleでも、品質も安全性もやっぱり違うことがわかりました。安さにつられるのは得策ではなさそうです。しっかり見極めて買いたいですね。
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