3大ブランドのいずれも掲げる 「歯科医推奨」というコピー

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電動歯ブラシをすでに使っている、または購入の検討をしている人は、すでにわかっているかもしれませんが、電動歯ブラシの市場は、ほぼ3つのブランドで占められています。

「パナソニック ドルツ」「フィリップス ソニッケアー」「ブラウン オーラルB」の3ブランドです。いずれも電動歯ブラシ業界では昔から定番のメーカー。

そして、これらのメーカーで共通している広告コピーが「歯科医推奨」です。

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厳密に言えば、「推奨」という言葉を使っているのは実はパナソニックのみ。フィリップスとブラウンに関しては、「歯科医の使用率」というニュアンスの表記です。

いずれにしても、各メーカーが「歯科医」という要素を使って、ユーザーの信頼を得たいというコピーだと言えるかと思います。

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もちろん、オーラルケアというヘルスケアに関わる繊細なジャンル。歯科医師のお墨付きがあること自体は、イチユーザーとしてもありがたいことです。

ですが問題は、それを各メーカーともに掲げていること。これでは選びの指針としては機能しません。また、その「推奨」に信頼が置けるのかも疑問に思えてきます。

そこで「歯科医推奨」の基準を編集部で調査。すると、それぞれの歯科医推奨には微妙に違った意味があり、考えるべき部分も見えてきました。

「日本歯科医師会 推薦」の パナソニック ドルツ

「日本歯科医師会 推薦」のパナソニック ドルツ イメージ

パナソニック(Panasonic)
音波振動ハブラシ / 電動歯ブラシ
ドルツ(Doltz)シリーズ
日本歯科医師会推薦:EW-DM61及び、OEM製品を除く


過去に編集部で行った21製品の比較テストでも高評価を獲得している電動歯ブラシの大本命。現状、唯一「推奨」を明記しているメーカーです。

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◎推薦には審査が必要で詳細な条件がある

パナソニックの「日本歯科医師会」の推薦をもらうための審査基準はウェブにも公開されています。全17条にわたる記載があり、かなり詳細です。

まず大前提として「国内で購入できる製品で、申請を受けた製品が審査の対象になる」という条文に当てはまる必要があります。

その上で、以下の手順にそった審査申請が必要になります。

「日本歯科医師会 推薦」のパナソニック ドルツ イメージ2

また、申請した企業や製品、その審査の可否は非公表で、推薦を勝ち取った製品だけが宣伝広告に、「日本歯科医師会推薦」の文言を使用できるという規定です。

◎審査は厳格だが詳細はほとんど公開されない

ここまでの調査で、審査手順はしっかりとしたルール化がされているようにも思います。ただ、肝心の評価基準などはほぼ公開されません。

パナソニックが歯科医師会の認定を受けていることは間違いありませんが、それが電動歯ブラシの品質を評価する上で正しいのかどうか、それを判断することは難しそうです。

後述するブラウンとの違いとして、「日本の歯科医師会の推薦」であることは、ひとつ信頼性の判断材料になるかもしれません。

ブラウン オーラルBは 「世界の歯科医が使用するNo.1」

ブラウン オーラルBは「世界の歯科医が使用するNo.1」 イメージ

ブラウン(BRAUN)
電動歯ブラシ
オーラルBシリーズ
世界の歯科医が使用するNo.1:P&G調べ。


パナソニックと比べ、編集部でのテスト評価は振るわないことが多いブラウンのオーラルB。実は元々は「推奨」という言葉をブラウンも使っていましたが、今では「使用するNo.1」に切り替わっています。

編集部テストが振るわない点として、丸型の回転ブラシの評価が軒並み低いことにあります。そしてその評価をしているは、編集部で取材を依頼した歯科医師たちです。

もちろん、一人の医師の意見ではなく、今まで取材してきた数多くの医師から同様の意見が上がっています。

ブラウン オーラルBは「世界の歯科医が使用するNo.1」 イメージ2

それでは、「世界の歯科医が使用するNo.1」は、何を基準にしているのでしょうか。実際にブラウン製品を販売するP&Gに取材を行いました。

◎世界規模のリサーチ調査、日本も対象

編集部 「“世界の歯科医が使用するNo.1”は、何を基準に求められているのでしょうか? 日本歯科医師会の調査とは異なりますか?」

P&G広報担当 「日本歯科医師会を通じての調査ではなく、過去15年以上に渡り、世界各国の歯科医師に継続してリサーチを行った結果となります。」

編集部 「日本はその調査の対象に含まれているのでしょうか?」

P&G広報担当 「日本もサンプル調査の対象です。2015年4月~2016年6月に、アジア・オセアニア・アメリカ・南米・欧州など全21カ国・約5000人の歯科医師を対象に行ったサンプル調査の結果となります。」

◎ブラウンの調査は規模は大きいが自社調べ

調査結果は全世界にわたる大規模なものでした。5000人もの医師にアンケートを取るなど、サンプル数は十分です。ただ、いくつか疑問に残る部分もありました。

まずは調査があくまで「P&G調べ」である点。自社調べという点では、第三者機関での審査・認証に比べると中立性に欠ける可能性もあります。

また、これはパナソニックにも言えることですが、調査の詳細が公開されていないこと。とくにP&Gは世界規模でアンケートを取っているため、それが必ずしも日本人にあった内容なのかはわかりません。

調査サンプル5000人の中に、どの程度日本人が含まれているかも不透明です。

「歯科医推奨」だらけの理由は メーカー不揃いの調査方法にあり

「歯科医推奨」だらけの理由はメーカー不揃いの調査方法にあり イメージ

今回の調査ではわかったのは、いずれのメーカーも各自それぞれのやり方で「歯科医推奨」を獲得していたということ。※フィリップスに関しては情報不足のため、今回の調査からは除外しています。

歯科医推奨という言葉から考えれば、正確にその手順を踏んでいるのはパナソニックでした。しかし、その評価基準は結局のところ、ブラウンも含め公開されていないため、何がどう推奨なのかはわかりません。

歯科医推奨を広告コピーとして利用すること自体は悪いことではありませんし、ある一定の信頼性もありそうです。ただ、製品品質を保証する決定打と言えるようなものとも思えません。

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人の口腔環境はそれぞれで個性があり、歯科医にとって、ひとつの製品を万人に向けてオススメするということは、本来しづらいはずです。

それでも、ある一定の基準のもと、製品の品質を評価することには意味があり、私たちもそのような意図でテストをしています。

ただ、今回の調査でわかったような、「情報非公開の推奨」では、その判断をすることも難しいため、あくまで参考程度と考えるべきでしょう。


▼取材協力はコチラ
※各メーカーの認証についての調査はすべて編集部で行いました。

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