電気自動車(EV)とは?

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世界の自動車産業において最新技術と注目を集める電気自動車(EV)。今後ガソリン車からの移行を控え、電気自動車(EV車)にしようと思っても、その実力を含めて意外と知らないことって多いですよね。

そこで今回、雑誌『家電批評』が現在購入できる電気自動車(EV)の人気モデルを比較してみることにしました。

まず本記事では、今さら聞けない電気自動車(EV)の基礎中の基礎を解説したいと思います。

Q:電気自動車(EV)とは?

A:まったくガソリンを使わず電気で走る自動車です。

エンジン車のようにガソリンや軽油などの化石燃料を燃やしてエンジンを回し、動力を得るのではなく、電気を大容量バッテリーに充電してそれでモーターを駆動させて走るのが電気自動車(EV)の基本的な考えです。

エンジンとモーターを両方使うハイブリッド車(ハイブリッドカー、HV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)とは異なり、すべて電気で動きます。

Q:電気自動車(EV)とは? イメージ

例えば、マツダMX-30の場合はガソリン車と電気自動車(EV)をラインナップ。将来はレンジ・エクステンダー(補助として発電用にガソリンを使う機能)装備モデルも登場予定となっています。

充電する場合、契約プランなどで大きく単価は変わってきますが、電気代は1kWhでおおよそ10~30円ほどになり、ガソリンと比較してもかなり出費を抑えることができます。

Q:充電の方法は?

A:充電スタンドや自宅で充電できます。

電気自動車(EV)は公共施設やディーラーなどに設置された充電スタンドや自宅に充電器を設置することで充電でき、自宅の場合は200Vの普通充電器となります。

Q:充電の方法は? イメージ

充電方法は普通と急速の2種類があります。充電器の価格は壁に装着するウォール型の15万円位からタワー式の80万円位まで幅があります。

Q:充電の方法は? イメージ2

急速充電(CHAdeMO規格)のコネクターは普通充電と形状が異なります。

自宅に充電器を設置するなら補助金が適用されます。機種にもよりますが、おおよそ5~10万円の間で補助金が適用されます。詳細はディーラーなどで相談するといいでしょう。

Q:新車購入時は?

A:最大40万円の補助金があります。

Q:新車購入時は? イメージ

一般社団法人次世代自動車振興センターの「CEV補助金」を活用、また自治体によっては独自の助成により10万円のサポートが受けられるケースもあります。

電気自動車(EV)の選び方は?

電気自動車(EV)の選び方は? イメージ

日本では「2030年代半ばには国内の新車販売から純粋なガソリン車をゼロにする」「2050年には温暖化ガスの排出を実質ゼロにする」という指針のもと、将来的にガソリン車からの脱却が予定されています。

これは世界的にも同じような動きで、それゆえに各自動車メーカーが電気自動車(EV)をはじめとする次世代エネルギー車を開発している状況です。

もちろん環境問題をクリアするというのが大前提ですが、車好きとしては新しい車がどのようになっていくのかという点も非常に気になるところです。

そこで現状において電気自動車(EV)を選ぶ際には、どのような点に着目したらよいのでしょうか。ポイントを解説します。

選び方のポイント1:駐車場に充電器を用意できるか

電気自動車(EV)を購入する前に絶対に確認しておくべきことが、自宅に充電器が設置できるかという問題です。

選び方のポイント1:駐車場に充電器を用意できるか イメージ

戸建てであれば配線や充電器の設置場所さえ決めれば問題はありませんが、集合住宅(マンションなど)の場合は管理組合の許可を得なければ設置自体は難しいのが現実です。

それでも実際設置しているマンションもありますので、ネットなどで事例を調べてみるのもよいでしょう。

選び方のポイント2:充電インフラも絶対チェック!

自宅にもし充電器が設置できない場合、必然的に公共施設やディーラーなどに設置されている充電器を使うことになります。ただ、いつも充電スタンドが空いているわけではありません。

そこでスマホアプリなどでは空き状況も含めた検索ができるものもあるので、これらを活用するのが賢い使い方です。

選び方のポイント2:充電インフラも絶対チェック! イメージ

たとえば日産リーフでは、対応する充電スポット検索アプリを使えばリアルタイムの満空情報が取得でき、状況をアプリ上で確認することができます。

選び方のポイント2:充電インフラも絶対チェック! イメージ2

今回テストしたEVの多くにはカーナビと通信機能を活用して充電スタンドの検索ができます。

検証でも充電問題で大苦戦でした

検証でも充電問題で大苦戦でした イメージ

今回の検証で悩んだのが「どこで充電するのか」という問題。スタンド数がなく複数台の充電が不可能だったり、充電器の出力が低く、思ったほど充電できないなど、まさに「洗礼」を受けた格好。どの使用車もガソリンのようにとは、まだまだいかないようです。

電気自動車(EV)の基礎知識と選び方のポイントがわかったところで、本題である電気自動車(EV)の比較方法をご説明します。

電気自動車(EV)の比較方法は?

電気自動車(EV)の比較方法は? イメージ

今回の検証には自動車評論家の高山 正寛氏にご協力いただき、現在購入できる電気自動車(EV)の中でも人気モデルを10台実走し、その内容を確認してみました。

比較したのは次の5項目です。

比較1:バッテリー

比較1:バッテリー イメージ

基本となる容量や航続距離、充電時間も含めた環境などをチェックしました。

比較2:走り

比較2:走り イメージ

モーターの特性をどのように生かしているのか? 走行フィーリング等もチェックしました。

比較3:取り回し

比較3:取り回し イメージ

エンジンを持たないEVは小回りが利くのも特徴。取り回し性能を確認しました。

比較4:コネクテッド

比較4:コネクテッド イメージ

通信やスマホ連携によるさまざまな機能をチェック。便利に使えるかどうかを調査しました。
 

比較5:先進装備

比較5:先進装備 イメージ

安全装備だけでなく、快適性を向上させる機能なども含め確認しました。

今回比較した10台は、1台でほとんどの用が足せるファーストカーとして使えるモデル、充電航続距離が短く街乗りや郊外での利用をメインとしたセカンドカー向きのモデル、価格も含め富裕層向けのスポーツカーとして別枠で選んだモデルとカテゴライズすることができました。

それでは、おすすめランキングを発表します。分類タイプについても注目してみてくださいね。

【おすすめ電気自動車S評価】ポルシェ「TAYKAN」|富裕層向けスポーツカー

ポルシェジャパン:ポルシェ Taycan:自動車

ポルシェジャパン
ポルシェ
Taycan
実勢価格:1171万円~

サイズ・重量:全長4963×全幅1966×全高1378mm・2380kg
駆動方式:4WD
バッテリー容量:93.4kWh
一充電走行距離:333km~
電費:ー

▼テスト結果

  • バッテリー: ◎
  • 走り: ◎
  • 取り回し: ◎
  • コネクテッド: ◎
  • 先進技術: ◎

今回テストした10台の中でS評価だったのは、ポルシェ「Taycan」。走行性能はまさにスーパースポーツの異次元レベル。ただし、価格も異次元となっているので余裕のある富裕層にしかおすすめできません。

Taycanはプロが絶賛するほどの完成度

Taycanはプロが絶賛するほどの完成度 イメージ

Taycanは「ローンチコントロール」という機能を使うと瞬間的に最高761ps(560kW)まで出力が上がり0-100km/h加速は2.8秒という驚異的な加速を得ることができます。コーナリング性能も高い次元でバランスされている新次元のスポーツカーなのです。

【おすすめ電気自動車A+評価】ホンダ「Honda e」|街乗り&セカンドカー

本田技研工業:ホンダ Honda e:自動車

本田技研工業
ホンダ
Honda e
実勢価格:427万4000円~

サイズ・重量:全長3895×全幅1750×全高1510mm・1540kg
駆動方式:RR
バッテリー容量:35.5kWh
一充電走行距離:259km~
電費:6.6km/kWh(一般道)、7.6km/kWh(高速)

▼テスト結果

  • バッテリー: △
  • 走り: ◎
  • 取り回し: ◎
  • コネクテッド: ◎
  • 先進技術: ◎

A+評価だったのは、ホンダ「Honda e」。都市型と割り切っているとんがったモデル。ワイドディスプレイやRR方式など、クルマ好きこそ欲しくなる1台です。

日常の使いやすさ重視ならおすすめ

日常の使いやすさ重視ならおすすめ イメージ

RR方式の採用により街中でもスイスイ走れます。最小回転半径4.3mという数値は同社の軽自動車N-BOXの4.5mより小さいことからも取り回しがしやすいことがわかります。愛着の湧くデザインや大型ディスプレイなどは自分の部屋のような感覚です。

【おすすめ電気自動車A+評価】メルセデス・ベンツ「EQC」|ファーストカー

メルセデス・ベンツ:EQC:自動車

メルセデス・ベンツ
EQC
実勢価格:1040万円~

サイズ・重量:全長4770×全幅1925×全高1625mm・2500kg
駆動方式:4WD
バッテリー容量:80kWh
一充電走行距離:400km
電費:3.2km/kWh(一般道)、5.7km/kWh(高速)

▼テスト結果

  • バッテリー: ◎
  • 走り: ◎
  • 取り回し: ◎
  • コネクテッド: ◎
  • 先進技術: ◎

同じくA+評価だったのが、メルセデス・ベンツ「EQC」。メルセデスのテイストを継承しながら新しさを演出してくれる最高レベルの完成度。価格はともかく日常でも不満なく使えます。

【おすすめ電気自動車A+評価】テスラ「Model 3」|ファーストカー

テスラ:Model 3:自動車

テスラ
Model 3
実勢価格:389万円~

サイズ・重量:全長4694×全幅1849×全高1443mm・1844kg
駆動方式:4WD
バッテリー容量:ー
一充電走行距離:448km~
電費:4km/kWh(一般道)、8.26km/kWh(高速)

▼テスト結果

  • バッテリー: ◯
  • 走り: ◯
  • 取り回し: ◯
  • コネクテッド: ◎
  • 先進技術: ◎

同じくA+評価だったのが、テスラ「Model 3」。多彩な機能と圧倒的な加速性能は黒船到来を思わせる衝撃。総合的な走行性能はやや劣りますが、注目度は抜群です。

電気自動車(EV)ならではの感動は圧倒的!

電気自動車(EV)ならではの感動は圧倒的! イメージ

将来の自動運転も見据えたハードウエアを最初から実装し、各種機能はシステムをアップデート可能。まさに走るパソコン的な新感覚モデル。ディズプレイに集約された操作は癖がありますが、より未来的な感覚でEVに乗っているという満足度も高いです。

【おすすめ電気自動車A評価】マツダ「MX-30 EV」|街乗り&セカンドカー

マツダ:MX-30 EV:自動車

マツダ
MX-30 EV
実勢価格:434万8000円~

サイズ・重量:全長4395×全幅1795×全高1565mm・1650kg
駆動方式:FF
バッテリー容量:ー
一充電走行距離:256km~
電費:6.6km/kWh(一般道)、8km/kWh(高速)

▼テスト結果

  • バッテリー: △
  • 走り: ◎
  • 取り回し: ◯
  • コネクテッド: ◎
  • 先進技術: ◎

A評価は、マツダ「MX-30 EV」。本命はレンジ・エクステンダー(※1)で、現状はバッテリー容量の少なさが気になります。このクラスとして走りの質はピカイチ!

※1 補助としてガソリンで発電できる機能

【おすすめ電気自動車A評価】アウディ「e-tron Sportback」|ファーストカー

アウディ:e-tron Sportback:自動車

アウディ
e-tron Sportback
実勢価格:1119万4000円~

サイズ・重量:全長4900×全幅1935×全高1615mm・2560kg
駆動方式:4WD
バッテリー容量:95kWh
一充電走行距離:318km
電費:ー

▼テスト結果

  • バッテリー: ◎
  • 走り: ◎
  • 取り回し: ◎
  • コネクテッド: ◎
  • 先進技術: ◯

同じくA評価だったのが、アウディ「e-tron Sportback」。高い運動性能と圧倒的な静粛性で非常に完成度が高いモデル。先進装備は少し扱いづらい部分もあります。

【おすすめ電気自動車Aー評価】BMW「i3」|街乗り&セカンドカー

BMW:i3:自動車

BMW
i3
実質価格:467万円~

サイズ・重量:全長4020×全幅1775×全高1550mm・1440kg
駆動方式:RR
バッテリー容量:42.2kWh
一充電走行距離:295km~
電費:6.8km/kWh(一般道)、9.2km/kWh(高速)

▼テスト結果

  • バッテリー: ◎
  • 走り: ◯
  • 取り回し: ◎
  • コネクテッド: ◯
  • 先進技術: ◯

Aー評価だったのが、BMW「i3」。現在のEVの先駆けともいえるモデル。レンジ・エクステンダー(※1)装備モデルなら航続距離も長く使いやすいです。

※1 補助としてガソリンで発電できる機能

【おすすめ電気自動車Aー評価】ジャガー「I-PACE」 |ファーストカー

ジャガー:I-PACE:自動車

ジャガー
I-PACE
実勢価格:936万円~

サイズ・重量:全長4695×全幅1895×全高1565mm・2230kg
駆動方式:4WD
バッテリー容量:90kWh
一充電走行距離:438km
電費:5.1km/kWh(一般道)、6.7km/kWh(高速)

▼テスト結果

  • バッテリー: ◎
  • 走り: ◎
  • 取り回し: ◯
  • コネクテッド: ◎
  • 先進技術: ◎

同じくAー評価だったのが、ジャガー「I-PACE」。SUVとスポーツカーのテイストを持つ欲張りなクロスオーバーモデル。人とは違うクルマが欲しい“通向け”の1台です。

【おすすめ電気自動車B評価】DS「DS 3 CROSSBACK E-TENSE」|街乗り&セカンドカー

DS:DS 3 CROSSBACK E-TENSE:自動車

DS
DS 3 CROSSBACK E-TENSE
実勢価格:494万4000円~

サイズ・重量:全長4120×全幅1790×全高1550mm・1580kg
駆動方式:FF
バッテリー容量:50kWh
一充電走行距離:300~320km(メーター表記)
電費:5.8km/kWh(一般道)、7.6km/kWh(高速)

▼テスト結果

  • バッテリー: ◯
  • 走り: ◯
  • 取り回し: ◯
  • コネクテッド: ◯
  • 先進技術: ◯

B評価だったのが、DS「DS 3 CROSSBACK E-TENSE」。EVとしての性能は平均的なものですが、デザインはかなり攻めていて唯一無二の存在。そこが気に入ればおすすめです。

なおDSは、2009年初にフランスの自動車メーカー、シトロエンの高級サブブランドとして発足したメーカーです。

【おすすめ電気自動車B評価】日産「LEAF」|ファーストカー

日産:LEAF:自動車

日産
LEAF
実勢価格:290万6400円~

サイズ・重量:全長4480×全幅1790×全高1565mm・1680kg
駆動方式:FF
バッテリー容量:62kWh
一充電走行距離:322km~(メーター表記)
電費:6.41km/kWh(一般道)、8km/kWh(高速)

▼テスト結果

  • バッテリー: ◎
  • 走り: ◯
  • 取り回し: ◯
  • コネクテッド: ◎
  • 先進技術: ◎

同じくB評価だったのが、日産「LEAF」。普通のクルマ感覚で乗れることは重要ですが、そこが逆にアダになってしまうかも。プロパイロットの性能は素晴らしいです。

【まとめ】個性ありの電気自動車(EV)は選ぶ楽しみあり

以上、電気自動車(EV)のおすすめランキング10選でした。1台ですべて完結させたいなら航続距離が長いモデルがベストですが、ユーザーのライフスタイルに応じて車種を選べるほど、EVも多様化していることがわかりました。

今回取り上げた最新EVでも単純に電気で走るという以外にモーターの特性を活かした走行性能やスタイリング、さらには通信制御などガソリン車ではできなかったものが見えてきました。

家電製品の進化と同じく、どのような機能が追加され、どんなに便利になるのか。また現状ネックとなっている充電インフラがどのように改善されていくのか、楽しみです。