きっかけは読者からの 一通の相談でした

電子レンジといえば、いまや「一家に一台」と言えるほど、なくてはならない家電製品。とくにお弁当や飲み物など、さまざまな食品を「温める」という機能は、ファミリーから独身者まで、幅広いユーザー層にとって欠かせないものとなっています。

きっかけは読者からの一通の相談でした イメージ

そんな電子レンジの「温め」について、読者から編集部宛に相談が寄せられました。なんでも、購入して3~4年ほど利用している電子レンジで食品や飲み物を温めると、熱くなる部分やぬるいままの部分など、ムラができてしまうのだとか。

「温め」は電子レンジで最もヘビーユーズする機能だけに、我慢して使い続けるのはかなり厳しく、お金がかかっても修理を検討しているといいます。

きっかけは読者からの一通の相談でした イメージ2

たしかに、「温め」の機能に不具合が出るということは、レンジの存在意義を揺るがすほどの大事件。しかし、ハイエンドの電子レンジはそもそも価格が高く、購入してから3、4年しか経過していないことを考えれば、修理でさらに出費するのは痛すぎます。

そこで今回は、パナソニック、東芝、日立、シャープの4社のメーカーサポートに、なにか対策はないか電話で聞いてみました!

聞く前にチェック! 「電子レンジの基本事項」

それでは、さっそくメーカーに聞きたいところですが、その前に確認しておきたいのが、正しく温めるためのコツとも言うべき「守るべき基本事項」です。実は、どのメーカーの電子レンジにも存在していて、意外に数も多いんです。


・お弁当や容器にふたは被せない
・連続使用時は庫内を冷ます
・ラップを使う場合、食品によって使用するモノと使用すべきでないモノを確認する
・ラップを何重にも重ねるのはNG
・ラップの端と端が重なる部分が下側になるように置く



これらの基本事項は、製品の取扱説明書に記載されている場合が多いので、故障を疑う前に必ず試してみて、ムラができるかどうかをチェックしてみましょう。

また、このほかにも食品を庫内に置く場所についても注意が必要となります。庫内の床がフラットなタイプはできるだけ中心に置いてあげるのが正解。赤外線センサーが検知しやすくなり、温めムラを防止することができます。

聞く前にチェック!「電子レンジの基本事項」 イメージ

一方、ターンテーブル式の場合は、皿の外側に食品を置いてあげるとマイクロ波が食品に均等に当たります。温めの不具合が生じたら、まずは電子レンジを正しく使えているかどうかを確認することが大切です。

以上を踏まえて、とくに使い方に問題がない場合は、電子レンジの装置に何らかの不具合が生じている可能性が考えられます。このとき、修理に出す前に自分でできる対策については、各メーカーで多少の違いがあるため、それぞれのメーカーの回答内容について紹介していきます。

温めムラの対策について 各メーカーに聞いてみました

それでは、パナソニック、東芝、日立、シャープの順にメーカーサポートのやり取りをご紹介しましょう。「温めムラができてしまうので、どうすればいいですか」と問い合わせてみました。それでは各回答をどうぞ。

【1. パナソニック NE-BS1200の場合】

温めムラの対策について各メーカーに聞いてみました イメージ

パナソニック 庫内の天井部分に汚れが残っていることで、赤外線センサーが不具合を起こしている可能性があります。

編集部 修理に出さなければいけないですか?

パナソニック まずは、電子レンジに搭載されている自動メニューで20分間の「洗浄」の機能を試してみてください。それでも改善されなければ、赤外線センサーの修理や交換が必要になります。

パナソニックは自動メニューによる庫内清掃の手順を詳しく解説してくれました。また、このあと、修理依頼後の流れや長期保証についてもきちんと提示してくれました。
 

【2. 東芝 ER-LD430の場合】

温めムラの対策について各メーカーに聞いてみました イメージ2

東芝 庫内に汚れが残り、赤外線センサー(表面温度を感知する装置)、インバーター基板(各機能を制御している装置)、マグネトロン(マイクロ波を出す装置)のいずれかが不具合を起こしている可能性があります。

編集部 修理に出さなければいけないですか?

東芝 とりあえず、メニューにある「スチーム」で汚れを浮かせて、庫内をキレイに掃除してみてください。それでもムラが生じるようであれば、部品の故障や劣化が原因と考えられるため、部品の修理や交換が必要になります。

清掃を提案するだけでなく、レンジの正しい使い方も解説してくれました。また、修理の費用目安についても明確に提示して説明してくれました。
 

【3. 日立 MRO-MBK3000の場合】

温めムラの対策について各メーカーに聞いてみました イメージ3

日立 温めムラとの直接的な関係はない可能性が高いのですが、まずコンセントを抜いてリセットしてみてください。

編集部 変化がないときはどうすればいいですか?

日立 庫内底部にあるプレートと重量センサーがズレている可能性があるため、一度取り外して置き直し、「取り消しボタン」を3秒以上押して「0点調整」をしてみてください。

ちなみに日立では、庫内の汚れによる赤外線センサーの不具合については、温めムラとの直接的な因果関係はないという見解でした。
 

【4. シャープ AX-CA1の場合】

温めムラの対策について各メーカーに聞いてみました イメージ4

シャープ  電力の供給不足が原因で温めムラが起こる場合があります。コンセントが1500Wのものかどうかを確認してみてください。

編集部 問題はなさそうなのですが……。

シャープ  それでしたら、修理が必要だと思われます。庫内清掃やセンサーの調整では温めムラの改善は難しいかと思います。

こちらも日立と同様に、庫内の汚れと赤外線センサーの不具合で温めムラができる可能性は少ないと言われました。修理の可能性が高いとして、修理費用の目安を提示してもらいました。ちなみに庫内の汚れは使用時に火花が散ることで故障の原因になるため、それを防止するためにクリーン機能を利用するとのことです。

また、各メーカーに電子レンジの寿命についても質問してみたましたが、回答についてはどのメーカーもほとんど同じ。電子レンジは明確な使用年数は決められておらず、大体8~10年程度が目安という答えでした。

メーカー修理費は高い! 普段からお手入れしましょう

レンジが3~4年程度で温めムラが起こっている場合は、部品の故障や劣化という可能性もゼロではないですが、自己改善できる可能性も少なくありません。

ちなみに、東芝ではHP上で以下のような修理費用を掲載しています。

・赤外線センサー……1万5000円~2万6000円
・インバーター基板……1万9000円~3万1000円
・マグネトロン……1万6000円~2万7000円

(価格は技術料・部品代・出張料など込み)

このように、かなり高額な修理代になっています。

各メーカーで対処方法は異なりますが、やはり、まずはパナソニックと東芝の2メーカーが推奨しているように、庫内のお手入れ機能を試してみるのがオススメです。また、そもそも故障などのトラブルが起きないように、普段からお手入れをするのがいいでしょう。そこで、ここではパナソニックの「ビストロ」を例にお手入れ機能の使い方をご紹介します。

Panasonic:ビストロ NE-BS1200:電子レンジ

Panasonic
ビストロ NE-BS1200
実勢価格:10万8000円

まず、あらかじめ皿類を取り出して軽く拭き掃除しておきましょう。

メーカー修理費は高い!普段からお手入れしましょう イメージ

本体正面の右側に配置されている「自動メニュー」のボタンから「便利ツール」を選択します。

メーカー修理費は高い!普段からお手入れしましょう イメージ2

メニュー画面が切り替わったら、「お手入れ」のボタンを押します。

メーカー修理費は高い!普段からお手入れしましょう イメージ3

すると3つのお手入れメニューが表示されるので、赤外線センサーのある「庫内」を選びます。

メーカー修理費は高い!普段からお手入れしましょう イメージ4

最後に稼働時間の設定画面になるので、洗浄の標準的な目安時間となる「20分」に設定します。

メーカー修理費は高い!普段からお手入れしましょう イメージ5

スチームで庫内の汚れを浮かせて、落としやすくしてくれます。終了後は庫内を拭き、温め機能を試してみましょう。

なお、洗浄機能は大抵のレンジに搭載されています。自宅のレンジをチェックしましょう。

東芝 ER-LD430なら
庫内清掃・パイプ水抜き・脱臭など

日立 MRO-MBK3000なら
清掃(水抜き、加熱室内)、脱臭など

シャープ AX-CA1なら
庫内クリーン、パイプ&給水経路洗浄など


以上、レンジを長持ちさせる方法を紹介しました。修理や高いお金を出して買い換える前にできることは結構あるんです。ぜひ、お試しください。