車としての性能アップはもちろん 新機能フル搭載の新型リーフ

2017年2月に発売された第二世代の新型リーフは、初代からデザインが刷新されたことに加えて、車としての性能もパワーアップしました。

初代リーフ:最高出力・80kW/最大トルク・280N・m
新型リーフ:最高出力・110kW/最大トルク・320N・m


またさらに、運転がグッと楽になる機能をフル搭載しています。

日産リーフ

日産リーフ
価格:315万~

まず、「eペダル」はワンペダルでアクセル、ブレーキを操作できるので、渋滞などの超低速運転時もドライバーのストレスを軽減してくれます。

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そして目玉機能である「プロパイロット」は搭載カメラで前方車との車間を計測し、自動で車間距離の調整をしてくれます。また、ハンドル支援をしてくれるので運転が苦手な人には便利です。

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また、駐車をサポートしてくれる「プロパイロット パーキング」などまさに運転のストレスを軽減してくれる要素がギッシリ詰まった一台です。

「航続距離400キロ」は本当? 実地テストを敢行しました

EVで長距離ドライブを考えたとき、航続距離の短さから多くの人が不安を感じることが多かったのではないでしょうか。そんな中、新型日産リーフはバッテリーサイズを変えずにその容量を40kWhにまで拡大し、フル充電で航続距離“400キロ”をもたらしました。

あくまでJC08モードでの計測値とはいえ、世に与えたインパクトは小さくありません。そこで今回は長距離ドライブに出掛け、この数値の達成度を測ってみることにしました。

「航続距離400キロ」は本当?実地テストを敢行しました イメージ

試したのは東京・神保町にある編集部~茨城県北部にある袋田の滝までを走る160キロ強のルート。まずはこの距離を大人3名が乗車し、エコランすることなく、普通にエアコンによる暖房を使いながら“快適ドライブ”で走行しました。

結論から言えば、フル充電での実用度はかなり高かったというのが正直な感想です。目的地に着いた時点でのバッテリー残量は35%。途中で高速道路を100キロ以上走ったのに加え、多少なりのアップダウンもあったにも関わらずこの数値です。

走りそのものもEVならではの力強いトルクで、高速道から一般道でのゴー&ストップも余裕綽々。走行音も静かでまさに快適なまでのドライブでした。

そして、次のステージではどこまでバッテリーが持つか、警告まで残量を減らしてみることにしました。

想定外のバッテリー低下が発生 遠出するときはフル充電が必須です

袋田の滝から日立市の「おさかなセンター」までの48キロは峠道を繰り返したためか、残量は急激に減り始め、到着時で16%に。普通ならここで急速充電すべきですが、ここでは「どこまで走れるか」が目的。残量と急速充電器の存在を睨みながらの走行となりました。

そして、残量が10%を切ったのは「国営ひたち海浜公園」周辺に着いた時。距離にして220キロを走り切ったことになります。ここまで走れるなら、EVでの遠出も怖くなありません。

ただ、この後に予想していなかったことが起こりました。夜間になって気温が下がってきたためか、あるいはライト点灯による消費が進んだのか、充電後のバッテリー消費が予想以上に進んで追加充電を余儀なくされてしまったのです。

想定外のバッテリー低下が発生遠出するときはフル充電が必須です イメージ

さらに充電しても、急速充電での目安である80%に必ずしもならなかったのです。つまり、フル充電をして走行したのに比べ、急速充電では早い段階での追加充電を行う必要が出てきたというわけです。

かといって、早い段階で追加充電を行えばそれだけ充電の回数が増えてしまいます。ここから言えるのは、遠出をする際はフル充電でスタートし、追加の急速充電を2~3度は行うことを想定しつつスケジュールを立てるべきということ。

これを上手に実行することこそ、EVとの快適な付き合い方につながるのです。

電気消費量が大きい 高速運転と空調に注意です

今回の試乗して気付いたもう一つのポイントは、走行状態によってバッテリーの消費量は大きく変わるということ。今回のドライブでは高速道路での走行が多く、80km/h程度のエコ走行ならそれほどでもありませんが、速度を上げると消費は急激に進んでいきます。

また、エアコンで無駄に温度を上げてもマイナスです。ただ、あまりケチった走りをすればストレスが溜まるので、積極的に走るところと、控えるところと節度ある走りこそがEVでは重要です。

電気消費量が大きい高速運転と空調に注意です イメージ

新型リーフの暖房はヒートポンプとPTCヒーターの併用型を採用。暖房を強めにすればバッテリーの消費はそれだけ激しくなるので注意しましょう。

電気消費量が大きい高速運転と空調に注意です イメージ2

また、高速走行では負荷が大きくバッテリー消費が激しくなりますが、追い越しなど加速が必要な状況では短時間で終わらせるのが無駄を防ぐコツです。

結果:想像以上に走ったリーフ EVの可能性を感じさせてくれました

EVの弱点とされていた航続距離ですが、今回実際に走ってみた感想としては、新型リーフに限ってはそれに当てはまらないと感じました。もちろん、充電の煩わしさがすべてなくなったわけではありません。

しかし、フル充電時の走行距離は想像以上で、あとは出先での急速充電といかにうまく付き合うかがポイントとなるのではないでしょうか。

結果:想像以上に走ったリーフEVの可能性を感じさせてくれました イメージ

公称400kmは難しいものの、フル充電さえすれば極端な加減速を繰り返さない限り、200kmを超える十分な走行距離を確保できます。

さらに、先進機能を活かしたアシストも満載で、購入時の補助金や自動車税、充電費用もかなりお得。気になるバッテリー劣化も8年または16万キロまで保証してくれます。

気になるバッテリーのこと ズバリメーカーに聞いてみました

EVに乗る前にやはり気になるのはバッテリーにまつわる問題。そこで日産自動車の広報担当者に問い合わせてみました。

Q:バッテリー残量が少なくなったときに通知などはあるの?
現状でもリーフに搭載するナビゲーションに「充電スポットを検索しますか?」というメッセージが出るようになっています。(以下編集部 注:検索を実行すると充電スポットの一覧が表示され、そのまま目的地に設定できます。)

Q:バッテリー残量が少なくなると走行予想距離が表示されないのはなぜ?
(注:今回の試乗では残量が3%になるまで走行して非表示となりました。)必ずしも3%以下というわけではありません。残走行可能距離は直近の走行状況により変動するため、バッテリー残量が少なくなると表示されなくなります。

Q:バッテリー残量が0%になったら、どうすればよいの?
残量を回復できる方法はございません。レッカーにて充電器のある場所まで移動する、もしくは充電トラックによる現場での充電が必要となります。(注:ローダーへ動かすことも出来なくなるので牽引するだけとなります。)

Q:バッテリー残量が3%以下で急速充電をしたところ24%の充電でストップ。どうして?
急速充電器の仕様や設定によっては充電量が少なくなる場合がありますが、状況がわからないため原因についてはわかりかねます。(注:任意でスイッチをOFFすることも可能なので、人為的な手が加えられた可能性もあります。)

Q:充電時にプラグを抜かれるなどの問題には、どのように対応すればいいの?
リーフの場合、普通充電はポートにロック機構を設けており、「Lock」に設定していると、コネクターにロックがかかり抜かれないようにしています。

「Auto」設定では充電中のみロックがかかり充電が終了するとロックが解除されコネクタが抜けるので、公共の充電ステーションを独占するのを避けられます。

また「Off」設定でコネクタが抜かれて充電が停止するとメールが届くように設定できます。これで充電コネクタを外されてしまう場合でも把握できます。

雨天時の充電でも安全上・機能上は全く問題ないよう、コネクタ勘合状態でのシール性を確保しております。旧型から30万台近くのリーフを販売し、事故・感電等のトラブルは一切ございません。

急速充電は約7200基が稼働中 長距離運転も安心できそうです

出掛けたときに使うことが多い急速充電器は7200基以上(2017年7月末現在)が稼働中です。今回のドライブでも分かったのですが、急速充電器は予想以上に多く設置されていたといることがわかりました。

公共施設はもちろん、「こんなところにも!」と思うような意外な場所にも設置してありました。

急速充電は約7200基が稼働中長距離運転も安心できそうです イメージ

さらに、道の駅も穴場です。しかし、充電できる絶対数は少なく状況次第ではコンセントの奪い合いになることもあります。

注意すべきはその中には低出力タイプが含まれていて、充電を終えても思ったより充電が進まないこともあるということ。充電機には100Vのものに加えて、全部で3タイプあります。

急速充電:充電時間40分
基本的に80%充電を想定しており40分で終了。充電器の出力によって充電できる能力は異なり、必ずしも80%充電とはなりません。

200V:充電時間約16時間
もっとも一般的な充電方法で家庭でも充電設備(15A)の設置が出来ます。100%充電するのに最も効率的です。

※急速充電は一般的な最大利用時間。また、100V/200V充電は満充電になるまでの目安となる所要時間です。

とくにコンビニなどにある充電器は出力が低く、充電状況によっては80%まで到達しないこともあるため、フル充電で出掛け、適度に休憩を取りながら充電を繰り返す使い方がオススメです。

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充電スポットは全国に約2万8500基(2017年7月末現在)整備されていますが、大半は充電時間がかかる普通充電。急速充電器は今でも絶対数が多いとは言えず、充電を終えたら速やかに退出するのがマナーです。

また、充電器のシャッターが閉まってる場合もあるので、その場合は管理者に連絡しましょう。

維持費を抑えたいなら 「ZESP2」を使いこなしましょう

リーフのユーザー向けに日産は「日産ゼロ・エミッションサポートプログラム2(ZESP2)※1」を提供中。このプログラムに対応した急速充電器は日産販売店舗とNCS(※2)が提供する高速道路やコンビニ等に設置されています。

全国には計約5530基(2017年7月末現在)あり、このプログラムを上手に使いこなせば月額2160円で充電が使い放題となり、驚くような低コストでEVが維持できるようになるんです。

なお、日産が提供する「ZESP2」には充電プランに応じて「使いホーダイプラン(月額2160円)」と「つど課金プラン(月額1080円)」の2つの料金プランが用意されています。

日産販売店
急速充電:無料(2160円/月プラン)・15円/分(1080円/月プラン)

高速道路・コンビニなど
急速充電:無料(2160円/月プラン)・15円/分(1080円/月プラン)
普通充電:1.5円/分(2160円/月、1080円/月プラン共に)

オススメは言うまでもなく前者の方。維持費という観点からもEVはユーザーに優しいクルマということが出来ます。

以上、新型リーフの航続距離テストでした。バッテリーや、充電スポットの数など長距離走行には課題が多かったEVですが、今回のテストで新型リーフの実力が分かっていただけたと思います。みなさんもぜひ、一度試乗してみてはいかがでしょうか。