2画面スマホ「M Z-01K」を今はまだ買いと言えない理由
2018年04月08日(日)
冨田 岳
冨田 岳/Test by 家電批評編集部
2画面スマホ「M Z-01K」を今はまだ買いと言えない理由
ドコモから発売された「ZTE M Z-01K」は、折りたたみ式のダブルディスプレイを搭載した製品です。実はこの「2画面スマホ」というコンセプトは過去にも何度か挑戦されてきた歴史があります。結局は色モノ扱いから抜け出せることなく定着はしませんでしたが、今回の製品はどうでしょうか。その実力をみていきます。
  • 期待されながら成功しなかった
    2画面スマホの歴史をおさらい
今やスマホのデザインのほとんどがiPhoneスタイルです。しかし、2画面スマホは挑戦的な端末として、いつの時代もありふれたデザインに飽きたユーザーの心を鷲づかみにしてきました。たとえば、この2011年9月に発売された「Sony Tablet P」。
ソニー
Sony Tablet P
実勢価格:5万5000円(当時)
サイズ:W180×H14×D158mm(見開き時)
重量:約0.372kg
メモリ:1GB
ストレージ:4GB
有効画素数:511万画素
この端末はスマホではなくタブレットを冠した製品ですが、デザインを含め、未来を感じさせる1台でした。ただ、動作が不安定で完成度がイマイチだったのが残念なところ。
折りたたむことができ、ポケットにしまえるぐらいコンパクトになるというのがセールスポイントでした。ほかにも、現在はスマホ事業から撤退してしまったNECカシオが、2013年4月に発売した2画面スマホ「MEDIAS W」があります。
NECカシオ
MEDIAS W
実勢価格:8万2320円(当時)
サイズ:W128×H136×D12.2mm(見開き時)
重量:約0.183kg
メモリ:1GB
ストレージ:16GB
有効画素数:810万画素
Sony Tablet Pに比べてヒンジサイズが小さいのが特徴。開いた状態でも片手で収まるサイズでした。未完成の部分はありましたが、大画面ブームに反するような片手使用できるスタンスやコンセプトなどが高評価。
これらの端末は、一部のユーザー人気は高かったものの、万人に受け入れられることはありませんでした。そして、国産メーカーは1世代で開発を断念してきたのです。

ですが今年、2画面スマホ繁栄への再挑戦を表明するメーカーが現れました!
  • 2画面スマホへの挑戦を
    受け継いだ「M Z-01K」
ZTE:ドコモ: M Z-01K
ZTE/ドコモ
M Z-01K
実勢価格:9万3980円
サイズ:W144×H151×D12.1mm(見開き時)
重量:約0.226kg
メモリ:4GB
ストレージ:64GB
有効画素数:2030万画素
2018年2月にドコモから発売した「M Z-01K」。最大の特徴は、目的や用途に応じて、メインとサブディスプレイをひとつの画面として使用する「大画面モード」、メインとサブディスプレイにそれぞれ異なるアプリや機能を操作できる「2画面モード」、メインとサブディスプレイに同じ内容を表示し、それぞれ操作も可能な「ミラーモード」、メインディスプレイだけを使用して通常のスマホのように操作する「通常モード」の4つを使い分けられること。
また、このようにスマホ単体で自立できるのは、2画面スマホならではじゃないでしょうか。
しかも、片面だけでも普通のスマホとして使用できます。2画面という圧倒的な個性が光っていますが、気になるお値段は約9万円となかなか高額。興味があるという理由だけで購入に踏み切るにはちょっぴり怖い金額ですよね。

そこで、「M Z-01K」が気になる全ての人のために、その全貌を明らかにします。
  • 基本性能は9万円という
    価格を考えるともう一歩
まず気になるのがスマホとしての基本性能。過去の2画面スマホは操作性やバッテリー持ちの悪さがウイークポイントでした。時代が違うとはいえ、2画面スマホであることには変わりのない本製品。その性能は進化しているのか……、それを確認するため、さまざまな調査を行いました。
【操作性テスト】
手始めに、「AnTuTu」ベンチマークテストアプリを使用し、製品の性能テストを実施。ベンチマークテストのスコアが高ければ高いほど、端末の性能も良いとされています。ちなみに、ほかのスマホに同様のテストを行った場合、Huawei「P10」は138993、ASUS「ZenFone 4」は112426、モトローラ「Moto Z2 Play」は69260、というスコアになりました。

さて、「M Z-01K」のスコアやいかに?
結果は、ほかの端末と比べると非常に高いスコアに。数字上では性能は期待できそうです。
そして、実際に操作してみると、基本的なページ送りや、アプリの操作といった動作に問題は感じられませんでした。ですが、肝心の両画面モードに切り替えた際の動作に、まだストレスを感じます。それでも、過去の2画面スマホよりはだいぶ良くなっていました。
【バッテリー検証】
2画面スマホのウリでもある、2画面モードや大画面モードを多用したいなら、バッテリー持ちが気になるところ。そこで、バッテリー持ちのテストも行い、「M Z-01K」と他のスマホを比べてみました。テスト内容は、バッテリーがフル充電の状態から、YouTubeの連続動画再生を行い、0%になるまでの時間を計測するというものです。
結果は、片面の使用で約6時間、両面だと約3時間半と、なかなかの健闘を見せてくれました。2画面スマホは、大型化を防ぐなどといった理由もあり、大容量のバッテリーが積みづらいのですが、この検証結果からわかるように、「M Z-01K」は普通に使用するなら問題ないレベルと言えるでしょう。さすがに2画面モードだとバッテリーの消費は激しいようですが。
【ディスプレイ性能】
動画やアプリ、カメラを楽しむならディスプレイの品質も重要。そこで、プロに「M Z-01K」のディスプレイをチェックしてもらいました。
プロカメラマン
文田信基さん
全体的なディスプレイの品質は、文田さんいわく「寂しく感じる」とのこと。
「暖色、赤みの表現にとても乏しく、彩度も少し弱いので仕上がりとしてはクールな感じである」とも語ってくれました。

次は、2つのディスプレイに品質の差はあるのかを見ていきましょう。
ネットの噂レベルでは、左右のディスプレイの色が違うと言われています。そのことに関して、開発したZTEに質問したところ、「ディスプレイは同じものですが、通常のスマホ2台でも100%完全に一致させることは難しいです。今回はメーカー管理品ですが、店頭用ではさらに徹底したチューニングをしています」と回答していただきました。また、気になるような場合は、ユーザー側でもディスプレイの色温度を調整することも可能です。
【デザイン性】
編集部的には、過去の2画面スマホと比べたときにもっとも進化したのは、デザインだと考えています。
見た目のデザインはもちろん、折りたたむ際の感触にも安心感があります。ボタン類も大きめで、シンプルながら光沢あるパーツがあり、高級感のある印象。
高級品のため、製品のつくりがとてもしっかりしていて、そのあたりに手を抜かなかった点も好印象です。
基本性能などに関しては以上のようになりました。スマホとしての性能は確実に進歩していますが、9万円前後という価格を加味すると、正直なところ満足いくレベルか微妙かもしれません。

しかし、2画面の部分には将来性をまだまだ感じます。画面がただ大きくなるのではなく、それ以上の期待、メリットを感じられる使い方があるからです。
  • 「マンガを読む」それだけでも
    2画面スマホを買う理由になります
2画面表示でメリットを感じる使い方を編集部が模索した結果、1番わかりやすい恩恵を感じたのがマンガでした。
従来のスマホでは、マンガを読むときはこのようなスタイルです。特にストレスを感じることなく読めていました。
しかし、2画面だとこうなります。より本に近い形式で読むことができるため、見開きやページをまたぐコマの見やすさが段違いです。ちなみに、dマガジン、LINEマンガ、Kindleなどの主なマンガ・雑誌アプリはほぼ問題なく見開き表示に対応していました。これらのサービスでは両画面モードなら自動で見開きになります。
ただし、Chromeでウェブマンガを試した場合、画面上下のメニューが常に表示され、画面が少し小さくなるのでご注意を。
2画面でマンガを読むメリットは大きいのですが、実は課題もまだまだあります。たとえば、Kindleでマンガを読む際は注意点が。マンガを開いたあとは問題ないのですが、管理ページを表示するときは、スマホの向きを変えなくてはなりません。
ですが、マンガのページをめくる動作にまったく不満はありません。2画面スマホでは、見開きページはアナログ同様に迫力満点に表示されます。また、画像のようにコマ割りも見やすく、本で読む形とほぼ変わらない快適さ。マンガをはじめ、電子書籍を本のスタイルで楽しむことができるのは、2画面スマホの大きなメリットです。
  • ほかにもある
    2画面のメリット
左右の画面を1画面にするモードは、マンガを読むのに最適ですが、普段使いにはなかなか難しいかもしれません。ですが、左右それぞれに別画面を表示させるモードなら日常的に面白く使えるはず。
このように動画を見ながら、ツイッターをする場合は非常に便利。ほかにも、ゲームをプレイしながら攻略サイトを見たり、Amazonでレビューを見ながら商品を選んだりできます。これぞ画面が2つあるスマホの真骨頂ではないでしょうか。

使い方のアイデアは、ユーザーによってさまざまです。自分なりの使い方を見つけるのも2画面スマホの魅力ですね。
  • 2画面スマホの
    今後のここに期待したい! 
マンガを読むのに相応しいスマホというだけでは、9万円出せるかまだ微妙なところ……。もうあと3歩、いやもう2歩くらい頑張ってくれたら……。そこで、メーカーさんに期待したいことを語ります。
【専用ケースを改善してほしい】
2画面スマホは特殊な形状なので、普通のケースは使用できません。現在はドコモショップで販売されている専用ケースが1つのみとなっています。
ZTE:プロテクティブケース
ZTE
プロテクティブケース
実勢価格:4298円
サイズ:W70×H154×D11mm(メイン)、W70×H154×D6mm(サブ)
重量:0.021kg(メイン)、0.019kg(サブ)
このケースを付けることで、厚みと重みが増して、しっかりプロテクトできているという安心感を得ることができます。ボタンの押しやすさも問題はないのですが、課題はディスプレイの部分。
ディスプレイをカバーしている部分に指紋がかなりつきやすいんです。それは、裸のままで使ってるほうが、指紋が付かないほど。指紋がベタベタついていたら、メリットであるマンガを読むときの障害にもなりかねません。ぜひ専用ケースの改善を頑張ってほしいです。
【カメラの操作性に問題あり】
カメラの画質は良くも悪くも普通レベルなのでこの際置いといて……、それよりも問題なのがカメラの操作性です。片面表示のメイン側にレンズがあるため、撮影するときは、ディスプレイをひっくり返さなければいけないのが厄介なポイント。また、ワンタップでカメラモードに移行する便利なボタンがあるのですが、シャッターボタンではないのでそこも注意が必要です。
さらに、セルフィー撮影時もディスプレイをひっくり返して撮影しなければなりません。しかしこれには、インカメラも2030万画素で撮影できるというメリットもあります。
プロカメラマンの文田さんは、オートフォーカス機能は優秀とのことでしたので、基本的な画質に大きな不備がある訳ではありません。ただし、使い勝手に難があるのは手軽さが重要なスマホカメラではぜひ改善を期待したいところです。
これらのことからも、スマホ自体の完成度はまだまだであると感じますが、正直、今買うべきかはタイミング的に難しいところです。しかし、2画面というメリットは、ほかのスマホにはない圧倒的な魅力。ぜひこの調子で開発を続けてもらい、進化した新製品を見てみたいという気持ちになります。同時に、2画面スマホの開発に関して、メーカーさんがどう思っているのか気になりました。
  • メーカーに聞きました
    2画面スマホを開発した理由
そこで、2画面スマホ「M Z-01K」を開発したメーカー、ZTEに取材を実施。
【質問その1】今まで失敗の多い2画面端末へあえて挑戦した理由は?
【回答】スマホの新しい機種が毎年いくつも出ていますが、ディスプレイサイズやカメラの画素数など、機能のバージョンアップがほとんどです。大きな変化を持たせたいため、この機種の開発にドコモ様と取り組みました。
【質問その2】正直、基本の動作にやや引っかかりを感じることがありましたが、改善の予定は?
【回答】弊社としてはスムーズな動作基準を満たしたスペックを採用している認識です。ただ、詳細はまだ決まっていない、またお伝えできない部分はありますが、ソフトウェアアップデートは随時行い、ユーザーの皆さまに、より快適に使っていただけるよう対応していきます。
【質問その3】スマホ業界で久々の挑戦的な製品ですが、ユーザーにPRしたいことはありますか?
【回答】「2画面スマホは必要なの? 」という声もありますが、本製品に慣れれば1画面スマホには戻れないというような要素はあると思っています。たとえば、大画面モードで電子書籍を見開きでめくる感覚や、2画面モードで別々のウェブブラウザを立ち上げたり、片方のメールやLINEで文章をまとめるときなどです(画面間のコピペもできます)。また、横向きで使い、大画面モードでウェブブラウザを見ると当然情報量が多く、真ん中の境目もあまり気になりません。横向きだからこその利便性もあります。上記の構造上の特徴もそうですが、インとアウト兼用の高解像度カメラ、Dolby Atmos採用の3Dサウンドなど基本機能も高いことを伝えられたらと思っています。

過去の歴史から、2画面スマホは発展途上ながら期待できる部分も多く、「次回作こそ!」と言われ続けてきました。しかし、ほとんどの製品で次回作が出ることなく開発が止まってしまっていたので、ぜひこの「M Z-01K」にはこのまま製品開発、ブラッシュアップを続けて欲しいです。
360.life(サンロクマルドットライフ)は、テストするモノ誌『MONOQLO』、『LDK』、『家電批評』から誕生したテストする買い物ガイドです。広告ではない、ガチでテストした情報を毎日お届けしています。

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