見た目が斬新なドライヤー 果たして5万円の価値はある?

満を持して登場したダイソン初の美容家電。5万円近い価格といい、およそドライヤーには見えない形といい、いろんな意味で革新的な同製品。同社の羽なし扇風機の技術を応用しているだけあって、売りはとにかく「風」。風の強さと温度制御で髪をすばやく乾かし、潤いをキープできるのという。イオンやナノといった付加機能ではなく、あくまで「風」で真っ向勝負のドライヤーだ。

まず箱を開けると中身は本体の他にアタッチメント3点とアダプター、滑り止めとストラップがセット。アタッチメントと本体との接続はマグネット式で、本体に近づけると「カチッ」とはまる。そのままで充分安定し、また外すときもさほど力はいらず簡単。

本体スイッチは棒状の本体上部にあり、風速や風温調節はそれぞれ3段、4段に調節可能、ボタンを押すたびに1段ずつ切り替わる。本体の「コールドショット」ボタンを押すと、即座にヒーターが停止するので、ピンポイントで冷風をあてることができる。

コードを含む本体の重さは約629g。取り回しが気になるほどではないが、コードが意外に太く重いため、洗面台の上など滑りやすい場所に本体を置くと落下が心配。そのための付属滑り止めマットだろう。

ダイソン:Dyson Supersonic:ドライヤー

こちらが本体。色が付いているこちら側が印象的だが、風が出るのは反対側。

ダイソン:Dyson Supersonic:ドライヤー

ダイソン
Dyson Supersonic
実勢価格:4万7250円

見た目が斬新なドライヤー果たして5万円の価値はある? イメージ

ダイソンの直販ストア限定セット(5万9400円)には、こちらのレザーボックスがついてくる。ちなみに、ネットを探すとレザーボックスがついてない標準モデルなら、税込み4万2000円近辺で購入できるショップはチラホラある。

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付属する3種のアタッチメントで風を調節する。

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アタッチメントの脱着はマグネットなのでラクラク。

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標準でディフューザーが付属。風の勢いを抑えつつ、熱をおくることでパーマをふんわり乾かすことができるアイテム。この辺のアイテムを付属させるこだわりがダイソンらしい。

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ボタンは全部で4つ。手元はオンオフ(上)とコールドショットボタン(下)。熱風が出ている際も、コールドショットボタンを押している間だけ冷風を出すことができる。

また、筒の方についている2つのボタンで風温と風速を調整。ボタンを押すたびに1段階ずつ変化。ライトが併せて点灯する。

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本体下部に空気吸入口がある。使用中ここを手のひらで塞いでしまうと風が弱くなるので注意。ダストフィルターになっており、溜まったホコリは簡単にケースを外して掃除できる。

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コードも含めた重さは約629g。

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本体下に敷く滑り止めが付属する。

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コンセントプラグはL字型。洗面台では、そこそこ邪魔。

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置き場所になかなか苦労する形だが、ドライヤーは総じて片付けづらい商品が多く、本製品が特別悪いだけではない。ちなみに、このサロンのようにこうやって吊り下げられる場所があると、なかなか便利。

電源を入れるとブォワーーー!!! 「確かにこれは強い!」

では、実際の使い勝手はどうなのか。編集部、テスター、プロの美容師、それぞれが検証した。

スイッチをオンにすると、普通のドライヤーとは異なる高めのキュイーンという音をあげながら、ブォワーーーと勢いよく風が出る。一番最初にスイッチを入れると、全員が全員、その勢いにびっくりするはずだ。

電源を入れるとブォワーーー!!!「確かにこれは強い!」 イメージ

こちらは、市販のビニールテープを本体の穴に通して計測したところ2.2mまでは余裕で持ち上げることができた。

早速、プロの美容師が試用。第一印象は、風圧が強くツヤは出るという評価。ただ、勢いが良いので、スタイリングには慣れが必要だという意見が多く、実際最初の検証では、スタイリングに苦労していた。また、持ち手の太さや動作音も気になるという意見も多かった。

電源を入れるとブォワーーー!!!「確かにこれは強い!」 イメージ2

[スタイリスト歴18年 サロンオーナー 岸 美友己さん]
パワーがありすぐ乾くので、むしろ男性に向いてますね。

風速よりも風量の多さで 他製品を凌ぐ圧倒的風圧を感じた

風量以上に風圧が強くしっかり握っていないと手が持っていかれるほどだ。面になった風がドバッと吹き出る印象。大胆にワシャワシャと乾かす場合、非常に相性が良い。

今回は、風の強さをウリにしている他社製品の「コイズミ MONSTER」、プラズマクラスターという+αの機能をウリにしている「シャープのプラズマクラスタードライヤー」と比較した。

まず、風速計にて測定した。

●10.2m/秒 ダイソン Supersonic
●16.3m/秒 コイズミ MONSTER
●15.5m/秒 シャープ プラズマクラスター

という結果に。一方、スペック値での風量は

●2.4㎥/m ダイソン Supersonic
●2.0㎥/分 コイズミ MONSTER
●1.3㎥/分 シャープ プラズマクラスター

となっている。風速自体は思ったより低いものの、風量の多さで、他の製品を凌ぐ風圧の強さを感じることが出来たと思われる。

消費電力は

●1200W ダイソン Supersonic
●1400W コイズミ MONSTER
●1200W シャープ プラズマクラスター

となっている。

風速よりも風量の多さで他製品を凌ぐ圧倒的風圧を感じた イメージ

温度は抑え目でもしっかりと素早く乾く 一方で、スタイリングは慣れが必要

過熱から髪を守るためセンサーが毎秒20回風温を計測する本製品。髪の健康が気になる人でも安心だという。

霧吹きで10回濡らしたマネキンの髪が乾くまでの時間と温度を計測すると

●3分18秒    60.4℃    ダイソン Supersonic
●3分22秒    70.0℃    コイズミ MONSTER」
●4分02秒    68.7℃    シャープ プラズマクラスター

という結果に。ダイソンは比較的温度は抑え目に推移したが、乾かすスピードは超強風で人気のコイズミのMONSTERとほぼ同じだった。確かに、温度を抑えた強力な風は、濡れた髪を乾かすのには非常に適していた。

その一方で、実際にスタイリングを行ったプロは「スタイリングするには強すぎてやりにくいですね」という感想。風が強いだけあって、それをコントロールしつつ意図通りのスタイリングを施すのは、慣れが必要そうだ。

反面、スタイリングを受ける側のは「風当たりが優しい」という感想。その辺は、過熱を防ぐセンサーが功を奏したようだ。

温度は抑え目でもしっかりと素早く乾く一方で、スタイリングは慣れが必要 イメージ

重量618gは軽いようで重いようで しばらく使っていると軽くなります

本製品の重さは618g。数字だけみると結構軽そうに見えるが、形のせいか初めて持ったときは「軽い!」という印象はない。

ただ、数日使ったテスターは、一同に「軽かった」という感想。確かに、数日使うと最初持ったときより「結構軽いかも」という印象になる不思議な製品。恐らく、持つ場所によって重さの印象が変わるせいだと言える。

本製品は、取手下部に吸引口があるため、手の大きな男性の場合、使っているうちに塞いてしまうことが度々おこる。そのため、扱いになれてくると、風が出る筒のほうを持ちながら、乾燥させるようになる。その結果として、「意外と軽いかも」という感想になると思われる。

独特のモーター音が非常に特徴的 好き嫌いがハッキリわかれます

独特のモーター音が非常に特徴的好き嫌いがハッキリわかれます イメージ

騒音計測ではMONSTERの爆音が目立ったが、ダイソンはむしろ独特の「キーン」というモーター音が印象的。大きな音以上に最初は気になる。他のダイソン製品を使っていればわかる掃除機などを使っていればおなじみの、あの音である

実際の騒音測定の結果は以下の通り。

●87.1dB    ダイソン Supersoni」
●89.4dB    コイズミ MONSTER
●86.4dB    シャープ プラズマクラスター

パワーと騒音はやはりトレードオフ。コイズミのMONSTERはクラシックな爆音だ。

風圧・動作音・持ち方すべてに馴染んでくると 「コレいい!」と思えてくるのがこのドライヤーです

上記のプロやテスターによるテスト結果と、その後、筆者が日常的に使い続けた結果を総合すると、ダイソンの「Supersonic」は使えば使うほど馴染む商品だといえるだろう。なるほど、風の扱いやスタリングのコツをつかみ、この商品を使いこなせるようになると最初の印象はだいぶ変わった。

仮に売り場でちょっと触った程度では、その価格の高さもあって「まあ、確かに風は強いけど……」で終わってしまうかもしれない。パワフルさ、独特の見た目、そして価格、とにかく最初はそのすべてがtoo muchな感じがする。しかしながら、日常的に使い続けると、確かに良い商品だということがわかる。

その独特の形や高級感が愛おしくなり、「従来のドライヤーに戻りたいか?」と問われれば、答えは「No」。ダイソンの「Supersonic」はそんな商品だ。