まずはじめに USBハブの基本をおさらい

パソコンの周辺機器が増えてくるとUSBポートが不足しがちになります。そんな時に役に立つのがUSBポートをカンタンに増設できる「USBハブ」。テストに入る前に、「USBハブ」についておさらいします。USBハブとは、パソコンのUSBポートを増やす周辺機器です。

知らないという人は電気のコンセントを増やす電源タップを思い浮かべるとわかりやすいでしょう。パソコンにキーボードやマウス、ゲームコントローラー、USBメモリ、外付けHDD、SDカードリーダー…などを接続した結果、USBポートが足りなくなった場合に重宝します。

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まずは、テストに入る前に、USBハブの基本をおさらいしておきましょう。USBハブを選ぶ際に、基準になるのは対応USB規格と端子形状、ポート数、セルフパワーの対応・未対応、価格、サイズなどです。

対応USB規格と端子形状

現在、市販されているUSBハブが対応する主なUSB規格にはUSB2.0、USB3.0(USB3.1 Gen1)、USB3.1 Gen2の3種類があります。

データ転送スピードはUSB3.1 Gen2がもっとも速いですが、対応機器が少なくUSBハブの価格は高いです。USB3.1 Gen2対応機器を持っていない場合、無理してUSB3.1 Gen2対応品を買う必要はありません。

次に確認するのはUSBの端子形状があります。USBハブで使われる端子にはUSB Type-A、USB Type-C、Micro Bの3種がありますが、パソコン側、機器側ともにType-Aの製品が主流です。

対応USB規格と端子形状 イメージ

理論値ではUSB3.1 Gen2が圧倒的に速いですが、市販のSSDを使った実測値ではUSB3.0が約450Mbps、USB3.1 Gen2が約1Gbps程です。USB3.1 Gen2対応のポータブルSSDを使わない場合、USB3.1 Gen2対応のUSBハブは不要です。

最近はUSBポートがType-Cのみというパソコンも増えつつあるので、使用するパソコンや周辺機器の端子形状を確認してUSBハブを選びましょう。

対応USB規格と端子形状 イメージ2

エレコム
USB3.1 Type-C ハブ 4ポート(A×2/Type-C×2) バスパワー ブラック U3HC-A412BBK
実勢価格:1480円

パソコン側の端子がType-Cのみの場合、USBハブもパソコン側がType-Cの製品を選ぶ必要があります。例えば上図のエレコム「U3HC-A412BBK」は、パソコン側、機器側ともにType-C端子を備えています。

ポート数とセルフパワーの対応・未対応

USBハブのポート数(機器側の端子数)は、製品によって異なりますが4つの製品が主流です。パソコンに接続したいUSB機器の数が多い場合は、ポート数の多いUSBハブを選びましょう。ただし、ポート数が増えるとUSBハブのサイズが大きくなり、価格も上がります。

また、USBハブに接続する機器の消費電力が高い場合、パソコンからの供給だけでは足りなくなります。そうした場合、セルフパワーに対応したUSBハブが必要です。

ポート数とセルフパワーの対応・未対応 イメージ

サンワサプライ
急速充電ポート付きUSB3.0ハブ USB-3H703BK
実勢価格:5,850

上図はサンワサプライの「SB-3H703BK」は、7つのポートとセルフパワー給電用のACアダプタを備えたUSBハブです。非常に拡張性の高い製品ですが、サイズは大きく、価格はボリュームゾーンの1000円台と比べて高額です。

USBハブの選び方の基本

ここではUSBハブの選び方のポイントを解説します。シンプルなように見えて実は製品ごとに大きな差のあるUSBハブ。ここで紹介する内容を踏まえて選んでみてください。

ポート間隔や縦/横並びに注意する

USBの端子の規格は共通ですが、コネクタ部は共通ではありません。このため、せっかくUSBハブに多くポートがあっても、1つのコネクタ部が大きい機器のせいで複数のポートが占有されてしまったり、抜き差しがしづらくなったりすることも。

USBハブの中にはポートが縦並びのものや横並びのもの、あるいは側面にポートがあるものなど、様々なものがあります。並び方や間隔はUSBハブその物の大きさにも影響します。使用する機器のコネクタに合わせて選んでみてください。

USBハブ以外の付加機能にも注目

USBハブにはSDカードリーダーなどがついているものがあります。パソコン本体にこういった機能がなかったり、あるいは数が足りない場合は、それを補うUSBハブを選ぶと便利でしょう。

USBハブ以外の付加機能にも注目 イメージ

その他の便利機能も

USBハブはつなぐだけで使うシンプルなものが多いですが、ポート別にON/OFFできたり、動作状況がわかるLEDがついているものもあります。こういった機能があると用途によっては便利かもしれません。

その他の便利機能も イメージ

設置に関する選び方のポイント

USBハブは小型で軽量なものが多いですが、パソコンに対して外付けになるため、ある程度の場所は取ります。購入前に設置に関しても、パソコン周辺にハブを置けるスペースがあるのかや、ケーブルが他のケーブルに干渉しないかなど、検討しておくと良いでしょう。

使う場所を決めてケーブルの長さを選ぶ

USBハブのケーブルの長さは製品によって様々。短すぎると物理的に設置ができませんし、長すぎるとケーブルを持て余したりUSBハブが思った位置に設置できないこともあります。事前に設置場所を決め、そこに適した長さのものを選ぶようにしましょう。

マグネットがあると金属に固定できる

USBハブの中には底面にマグネットがついているものがあります。このようなUSBハブの場合、机の表面あるいは支柱が金属でできていればマグネットを使ってUSBハブを固定することができます。固定されていないと抜き差しの際にUSBハブをしっかり支える必要があったり、軽いためにちょっと触っただけで落ちたりと不便なことも。

机が金属製であれば検討の価値がある仕様です。

4つの項目で徹底検証! 機能や使い勝手を評価します

今回は、「Amazonで買える」「USB3.0対応Type-A端子」「4ポート搭載」を条件に、USBハブのベストバイを調査しました。Amazonなどのネット通販で人気の13製品を下記4項目で採点し、その中からトップ10を選出しています。

なお、バッファロー社のポータブルSSD「SSD-PH1.0U3-BA」を、USBハブを介さずに接続した速度と同等の速度が出ない製品は、速度に難あり(使用により遅延が発生するUSBハブ)として、選外としました。

4つの項目で徹底検証!機能や使い勝手を評価します イメージ

USB3.1 Gen2環境で約1Gbpsの転送速度が出るSSD-PH1.0U3-BA。USB3.0環境だと実測で450Mbpsほどの転送スピードが出ますが、この速度を大きく下回った一部の製品は選外となっています。

ちなみに、家電批評・オブ・ザ・イヤーにも輝いた高速ポータブルSSD、SSD-PH1.0U3-BAの記事はコチラです。

ランキングで紹介する残りの10製品については、速度差はありませんでした。そのため、速度以外の機能・サイズ・価格が順位の決め手となっています。

4つの項目で徹底検証! 機能や使い勝手を評価します

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【評価項目 1 付加価値】
セルフパワー対応(3pt)、ACアダプタが付属(7pt)、ON・OFFスイッチがある(5pt)、パソコン側の変換コネクタが付属(5pt)、パソコン側の変換コネクタが2個付属する(7pt)、マグネットが付いている(5pt)、機器側にType-Cがある(5pt)、ケーブルが取り外せる(5pt)、
充電用ポートが付いている(5pt)、スマホホルダーがある(3pt)、LEDが付いている(3pt)、LEDが個別に付いている(7pt)の計60点で配点しました。

【評価項目 2 サイズ】
体積を計算してサイズを評価しました。配点は28000cm3以下なら10pt、90001cm3以上なら1ptとし、その間で配点しました。

【評価項目 3 価格】
実勢価格が1050円以下なら20pt、1951円以上なら1ptとし、その間で配点しました。

【評価項目 4 保証期間】
メーカー保証の期間が18カ月以上なら10pt、12カ月は6pt、6カ月なら3ptを配点しました。

上記4項目合計100点満点でランキング化しました。なお、評価項目には両立できないものが多く(例:各種付加価値とサイズ、価格など)、
100点の獲得は事実上不可能です。本ランキングでは40点を超えていれば高得点と考えていいでしょう。

それではいよいよ、USBハブのランキングを発表します。

圧倒的なコスパ! 同価格帯では 頭ひとつ抜けた多機能ハブ

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atolla
USB3.0 ハブ 4ポート
実勢価格:1080円


●サイズ・重量/108×14.4×45mm・44g ●インターフェース/パソコン側USB3.0(Type-A):機器側:USB3.0(Type-A)×4

[テスト結果]
付加価値:18/60点
サイズ :4/10点
価格  :19/20
保証期間:10/10点

合計  :51/100点

USBポートごとの個別スイッチとセルフパワー給電に対応したハブです。
個別スイッチを搭載したUSBハブの多くは大型ですが、本機は携帯性を重視した小型ハブとさほど変わらないサイズです。

また、外部から給電できる「セルフパワー」に対応しているので、消費電力の多い周辺機器を使うときや、パソコンのバッテリーを節約したい場合などに重宝します。

セルフパワー給電用のACアダプターは付属しませんが、スマホやタブレット用の充電アダプター(micro USB)が流用できます。唯一の難点は、筐体がキズや汚れが目立ちやすい光沢のプラスチック製であることです。

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小型ながら個別スイッチを搭載しているため、スイッチ操作でケーブルを抜くことなく、使用していない機器との接続を解除できます。

圧倒的なコスパ! 同価格帯では頭ひとつ抜けた多機能ハブ イメージ3

micro USB経由でセルフパワー給電が可能。外出先でもスマホの充電器などにつなげば、消費電力の大きい機器にも対応できます。

パソコン側がType-Cでも大丈夫! タブレットでも使えます!

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TROPRO
USBハブ 3.0
4ポート ウルトラスリム
実勢価格:1099円


●サイズ・重量/107×10×30mm・32g ●インターフェース/パソコン側USB3.0(Type-A、Type-Cアダプタ付き):機器側:USB3.0(Type-A)×4

[評価ポイント]
付加価値:8/60点
サイズ :9/10点
価格  :19/20点
保証期間:10/10点

合計  :46/100点

昨今の携帯性を重視したノートPCはType-Cポートしか備えていない機種が増えてきました。USBハブにもパソコン側の接続ケーブルがType-Cの製品はありますが、製品数は少なく価格は少し高めです。

本機のパソコン側ケーブルはType-Aですが、Type-AからType-Cに変換するアダプタが付属するので、多くの製品に対応できます。ハブ自体は特殊機能のない標準的な製品ですが、サイズは最小クラスなので持ち運びは苦になりません。

パソコン側がType-Cでも大丈夫!タブレットでも使えます! イメージ2

Type-A→Type-Cの変換アダプタが付属するので便利! 多くの機器で使用できます。

パソコン側がType-Cでも大丈夫!タブレットでも使えます! イメージ3

国内メーカーの製品には付いていないこともあるLEDを備えています。

最低限の機能と価格で選べばコレ コスト重視のシンプルな製品

最低限の機能と価格で選べばコレコスト重視のシンプルな製品 イメージ

Ximytec
USB3.0 ハブ
4ポート バスパワー
実勢価格:999円


●サイズ・重量/108×10×30mm・32g ●インターフェース/パソコン側USB3.0(Type-A):機器側:USB3.0(Type-A)×4

[評価ポイント]
付加価値:3/60点
サイズ :9/10点
価格  :20/20点
保証期間:6/10点

合計  :38/100点

通電と接続機器とのアクセス状態を知らせるLEDを備える以外はこれといった機能を持たないUSBハブ。価格は実勢で999円と最安クラスですが、速度や実用性に問題はありません

耐久性は実際に使い続けてみないとわかりませんが、過熱・過電流防止機能と12カ月の保証が付いているので、ある程度は信頼できるでしょう。 

余談ですが、本機と2位の製品と、同率3位(Miscloder)の計3製品は、外観や機能に差がなく、OEM元が同じという可能性があります。

最低限の機能と価格で選べばコレコスト重視のシンプルな製品 イメージ2

ケーブルの付け根が凹んだ形になっているので、左右のどちらにも取り回せます。

最低限の機能と価格で選べばコレコスト重視のシンプルな製品 イメージ3

1000円以下という低価格品ながら、通電とアクセス状況を知らせるLEDを備えています。

コスパが高いU-1000円ハブ モノ自体は2位と同じ?

コスパが高いU-1000円ハブモノ自体は2位と同じ? イメージ

Miscloder
USB3.0 ハブ USB3.0 ウルトラスリム
実勢価格:999円


[評価ポイント]
合計:38/100点

おそらく2位のTROPROや同率3位のXimytecと同じOEM元の製品です。これといった特徴のないスタンダードなUSBハブです。

5位: 安全性と保証期間がウリ
「HEMERON USB3.0 ウルトラスリム 4ポートハブ」

5位: 安全性と保証期間がウリ「HEMERON USB3.0 ウルトラスリム 4ポートハブ」 イメージ

HEMERON
USB3.0 ウルトラスリム 4ポートハブ
実勢価格:1290円


[評価ポイント]
37/100点

過電流防止チップを内蔵した標準的なUSBハブ。表面がマット加工で汚れが目立ちにくいです。保証期間が18ヵ月と長く、表面がマット加工で汚れが目立ちにくいです。

5位: スマホ・タブレットスタンドになる
「ORICO USB3.0 ハブ 4ポート スマホホルダー」

5位: スマホ・タブレットスタンドになる「ORICO USB3.0 ハブ 4ポート スマホホルダー」 イメージ

ORICO
USB3.0 ハブ 4ポート スマホホルダー
実勢価格:1289円


[評価ポイント]
37/100点

スマホスタンドになる形状が特徴のUSBハブ。ケーブルが取り外し可能なので、別途ケーブルを用意すればType-CやmicroUSBの機器に対応できます。

5位: 保証期間が長くスタンダードな
「AUKI USB ハブ 3.0 ウルトラスリム」

5位: 保証期間が長くスタンダードな「AUKI USB ハブ 3.0 ウルトラスリム」 イメージ

AUKI
USB ハブ 3.0 ウルトラスリム
実勢価格:1290円


[評価ポイント]
37:100 pt

カタログスペックは3位の製品と同じですが、保証期間は18カ月と長くなっています。

8位: 卓上使用に最適なマグネット付き
「U3H-S418BBK」

8位: 卓上使用に最適なマグネット付き「U3H-S418BBK」 イメージ

エレコム
U3H-S418BBK
実勢価格:1441円


[評価ポイント]
36/100点

個別スイッチとマグネットを備えたUSBハブ。安定性が高いので卓上使用に最適です。

9位: 人気ブランドのUSBハブ
「Anker USB3.0 ウルトラスリム 4ポートハブ」

9位: 人気ブランドのUSBハブ「Anker USB3.0 ウルトラスリム 4ポートハブ」 イメージ

Anker
USB3.0 ウルトラスリム 4ポートハブ
実勢価格:1399円


[評価ポイント]
35/100点

コスパのいいモバイルバッテリーで有名なAnkerのUSBハブ。携帯性を重視したシンプルな設計です。

10位: 小型&セルフパワーを求めるなら
「Acasis USB3.0ハブ 4ポート」

10位: 小型&セルフパワーを求めるなら「Acasis USB3.0ハブ 4ポート」 イメージ

Acasis
USB3.0ハブ 4ポート
実勢価格:4,000


[評価ポイント]
32/100点

4ポートでは最小クラスながらスマホの充電器(microB)があればセルフパワー給電が可能になるUSBハブです。

以上がUSBハブのランキングとなります!

ランキングでは価格の配点比重が大きく、多機能な製品の点数が若干伸び悩む傾向がありましたが、購入する際は、価格だけではなく用途や目的に合った製品を選ぶといいでしょう。